読むための本ではなく、書き込むための本です。書き込んだぶんだけ、手元に残ります。
白い欄は、あなたが書くための場所です。きれいに書く必要はありません。 あとで読み返すのは、あなた自身だけです。
この講座では、職員も利用者も記号(スタッフA、利用者A…)で進めます。 お迎えの場所も、架空の地点名を使います。実際のお名前やご住所を AIに入力することは、講座を通して一度もありません。
宿題ができなかった回があっても構いません。できなかった理由を持ってきていただければ、 それは立派な報告です。この講座は、できない人を責める場ではありません。
| 第1回〜第6回 | 勤務シフト表をつくります。講師と同じ手順を、全員でたどります。 |
|---|---|
| 第7回〜第12回 | 送迎表のしくみをつくります。こんどは聞き取りから、自分の手で組み立てます。 |
| 様式集 | 書き込んで使う用紙です。切り離して職場に持ち帰っても構いません。 |
| プロンプト集 | AIへの頼み方を、そのまま書き写せる形で載せています。 |
はじめに、はっきりさせておきます。この講座で作るのは、 たたき台を出す道具であって、答えを決める道具ではありません。
| 道具にやらせること | 人がやること |
|---|---|
| 決まりに反しているところを指摘する | 誰をどこに入れるかを決める |
| 夜勤や土日の回数を数える | それが公平かどうかを判断する |
| 移動にかかる時間を正しく足す | その日の道路の様子を見て決める |
| 合計時間が短い順に並べる | 実際にどの順で回るかを決める |
最後に決めるのは、いつも人です。 AIが出した答えを、そのまま使うことはありません。確かめてから使います。 その確かめかたを、この12回で身につけていただきます。
この回の最初の15分で、あなたのAIが動きます。この講座に、見ているだけの席はありません。先に手を動かし、そのあとで「これから自分が何になるのか」を言葉にします。
講師が先に画面を共有して全部やってみせます。そのあと、同じことをご自身のパソコンで再現していただきます。順番はこれだけです。
1つ目に打つ文は、これです。手で打っても、この本から書き写しても構いません。
介護施設のシフト作成について、担当者が大変だと感じる点を3つ、箇条書きで教えてください。
Enterキーを押すと、返事が来ます。希望の調整、夜勤の負担、急な欠勤 ── おそらく、現場の実感に近いことが並びます。ここで終わらないのが、この講座の作法です。続けて、こう打ちます。
ありがとうございます。それを、現場の管理者に説明するつもりで、1つ50文字以内に短くしてください。
短くなりました。これを注文のつけ直しと呼びます。一度で決めなくてよい、というのがAIとの付き合い方の核心です。出てきた答えに、追加の注文を重ねていきます。
AIへの指示の文章のことです。いま打った2つの文が、どちらもプロンプトです。この本では「指示文」とも呼びます。
返事が来ない ── 画面を読み込み直します(F5キー、または丸い矢印のボタン)。/打った文が消えた ── Enterキーの前にマウスで別の場所を押した可能性があります。もう一度、枠の中をクリックしてから打ち直します。/返事が長すぎて読めない ── 「3行にまとめてください」と打ちます。それも立派な指示です。
本社や外部の業者が立派な記録システムを入れた。けれども現場では使われていない ── 聞いたことがあるかもしれません。なぜ使われないのか。作った人が、現場を知らないからです。手袋をしたまま操作すること。立ったまま入力すること。利用者さんの対応の合間の30秒しか時間がないこと。それは、会議室では分かりません。
日本語にすると「前方展開エンジニア」。後方の本部ではなく、現場の最前線に入り込んで働く開発人材のことです。「前方展開」は、もともと軍隊の言葉の借用です。この職種は2009年頃に米国のPalantir(パランティア)というソフトウェア会社で生まれたとされ、契約先の組織に常駐して、その場で動くものを作る働き方を指します。
| 普通のエンジニア | FDE | |
|---|---|---|
| 働く場所 | 開発室 | 現場 |
| 聞く相手 | 仕様書(作るものを決めた書類) | 目の前で働く人 |
| 成果 | 納品物 | 使われ続けるツール |
| 中心の技能 | プログラミング | 聞き取り×AI活用×検証 |
コードは、AIが書ける時代になりました。だから価値の中心は「プログラムを書ける人」から「何を作るべきかが分かる人」へ移っています。何を作るべきかは、現場にいる人にしか分かりません。
正直に申し上げます。12週間でプログラマーにはなりません。なるのは「現場の困りごとを聞き取り、AIと一緒にツールのたたき台を作り、点検して仕上げ、職場に届けられる人」です。それがFDEの仕事の現場側の半分であり、その半分は、外部の業者にはできません。現場は、あなたにしかないからです。
この講座で一番大事な約束を、ここで決めます。三原則は、覚える標語ではなく、毎回の作業の前に体が思い出す手順です。
ブラウザのAIに打ち込んだ内容は、インターネットを通って、外部の会社のコンピュータに送られます。だから、入れてよいものと、いけないものの線引きを、本格的に作り始める前に体に入れます。三原則です。
利用者さん・ご家族・職員さんの「名前・生年月日・住所・電話・顔写真」「病名・障害名・薬・体の記録」を入力しません。あなたご自身とご家族の名前・住所・健康の情報も入れません。
職員は「スタッフA・B・C」、利用者さんは「利用者A・B・C」の記号で作ります。ツールは、記号のままで完成します。名前は、最後に人間が紙の上で差し替えられる「ラベル」にすぎません。
「これは個人情報だろうか」と迷った時点で、入力しません。迷いが出たこと自体が答えです。
原則1に、注意をひとつ添えます。「名前を消せば大丈夫」は誤解です。たとえば「小3・男の子・◯◯市・火曜と木曜に利用」── 名前はゼロでも、ご自分の事業所では1人にたどり着けるはずです。属性の組み合わせでも、人はたどれます。だからこそ原則3です。
AIの答えを、最終決定にしません。虐待や身体拘束に当たるかの判断、薬や医療の判断、人事の決定 ── AIに聞くのは自由ですが、答えを決定の根拠にすることは禁止です。この講座で作るシフト表も、後半で作る送迎表も同じです。AIが出すのは、たたき台。勤務を決めるのも、車に乗せる子を最後に確かめるのも、人間です。
誰かがうっかり実物の名前を貼りそうになったら、誰でも声を出して止めてかまいません。合言葉は「シュレッダー」。言われたら消します。そして、言った人を責めません。約束はこの2つだけです。
前半6回の共通題材は、勤務シフト表です。ほとんどの事業所に実在する管理業務で、担当者の時間を毎月確実に奪っているからです。
何が大変か。守るべき条件が多いのです。希望休を反映する。夜勤明けには休みを置く。連続勤務を続けさせない。必要な人数を毎日そろえる。そして、ここが一番もめるところですが ── 公平にする。夜勤がいつも同じ人。土日出勤がいつも同じ顔ぶれ。この偏りは、不満と退職の種になります。
これらを全部頭に入れて、パズルのように埋めていく。だから時間がかかり、出来上がった表に「聞いていない」と声が上がれば作り直しです。この講座では、この仕事の下書きの部分をAIに肩代わりさせます。作るのは3点セットです。
| 作るもの | 作る回 | |
|---|---|---|
| ① | 希望収集シート ── 勤務希望を集める入力表 | 第2回 |
| ② | ルールブック ── 職場の決まりごとの箇条書き | 第3・4回 |
| ③ | 点検リスト ── 出てきた表を人間が確かめる手順 | 第5・6回 |
この3つをAIに渡して「たたき台」を出させ、人間が点検して仕上げる。これが完成形です。
本物のシフトには制度上の条件もあります。人員配置の基準、常勤換算という人数の数え方、資格を持つ人の配置 ── これらは第3回の座学で知識として扱いますが、演習では扱いません。演習は架空の6人と簡単なルールに限定します。12時間の講座で完全自動のシフトの仕組みは作れません。作れないものを作れると言わないことも、この講座の約束です。
AIとの最初の対話の記録(質問1往復と、注文のつけ直し1回)/安全の三原則/「AIの答えを最終決定にしない」という約束。
宿題見るだけの宿題です。明日、職場で1つだけ見てきてください。今のシフト表が、誰の手で、何を見ながら作られているか。紙か、表計算ソフトか、ホワイトボードか。メモは要りません。上の欄に一言だけ書ければ十分です。次回の冒頭で、1行だけ教えてください。
3点セットの1つ目、希望収集シートを作ります。架空のスタッフ6人の1週間の勤務希望を表にして、そのままAIに渡すところまで進みます。
始める前に、前回の一番大事な約束を思い出します。手元の資料を見ないで書いてみてください。書けない行があっても構いません。書けない印をつけるのが、この欄の仕事です。
表計算ソフト(Excel、またはGoogle スプレッドシート)を新しく開きます。以下、Excelの言葉で書きますが、スプレッドシートの方は「Excel」を「スプレッドシート」と読み替えるだけで、手順は同じです。
○=勤務できる日/×=休み希望の日/夜=夜勤に入れる日。全角でも半角でもかまいませんが、1枚の表の中ではどちらかにそろえます。
完成の見本です。今日は練習として、この見本と同じ中身を打ち込みます。実際の職場では、この型の表を職員に配って埋めてもらうことになります。
| スタッフ | 属性 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| スタッフA | 夜勤可 | ○ | 夜 | ○ | × | 夜 | ○ | ○ |
| スタッフB | 夜勤可 | 夜 | ○ | × | 夜 | ○ | ○ | × |
| スタッフC | 日勤のみ | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × | ○ |
| スタッフD | 日勤のみ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
| スタッフE | 日勤のみ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
| スタッフF | 時短 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × | × |
4人分まで進めば上出来です。入力が追いつかないときは、今日はA〜Cの3人分でも演習は成立します。残りは宿題の時間に足せます。セルの移動は、Tabキーか矢印キーが速く動きます。
今日の山場です。操作は3つだけ ── 選ぶ、コピーする、貼る。そのあとに、確かめることと、控えを残すことが続きます。
表の中身が文字になって貼り付きます。見た目が崩れていても大丈夫です。AIは読めます。貼り付けた表の下に、続けてこの指示文を打ちます(教材の「プロンプト集・1番」と同じ文です)。
以下はスタッフA〜Fの1週間の勤務希望表です。○=勤務可、×=休み希望、夜=夜勤可の日です。 各日に日勤2名・夜勤1名を配置した1週間のシフト表のたたき台を、行=スタッフ、列=曜日の表で作ってください。 ×の日には配置しないでください。 埋められない日があれば、埋めずに表の下に「人員不足」と書いてください。
行がスタッフ、列が曜日、マスに「日勤」「夜勤」「休み」が入った表が出ます。ここで必ずやることが1つあります。1か所、目で確かめることです。たとえばスタッフAの木曜は×でした。表の木曜が休みになっているかを見ます。1つ確かめただけで全部を信用することはできませんが、まず1つ。表全体の点検のしかたは、第4回以降で扱います。
最後に、注文のつけ直しを1回。たとえば、こう打ちます。
スタッフCの日曜を休みに変えて、代わりに他の人で日勤2名を保ってください。変えた箇所を教えてください。
AIの答えは毎回変わります。同じ指示文でも、出てくる表は人によって違います。確かめ方が同じなら、それで正解です。
| 起きたこと | そのまま打つ言葉 |
|---|---|
| 表の形ではなく、文章で出てきた | 行=スタッフ、列=曜日の表の形で出し直してください。 |
| 日勤2名・夜勤1名が守られていない | 各日の人数を数えて、日勤2名・夜勤1名になるよう直してください。 |
| ×の日に配置された | スタッフ◯の◯曜日は×です。×の日に配置しない約束で、直してください。 |
| 表にいないスタッフGが増えた | 表にいない人を足さないでください。6人だけで作り直してください。 |
最後の1つは、AIの癖が出た場面です。慌てる必要はありません。この癖の正体と対処は、第5回でまとめて扱います。
出てきた表をExcelに戻します。まず、AIにこう打ちます。
この表を、Excelに貼り付けられるように、タブ区切りで出力してください。
使った指示文の控えです。メモ帳(またはWord)を開き、今日使った指示文を貼り付けて「プロンプト帳」という名前で保存します。AIとのやりとりの控えは、ツールの設計図です。次の人への引き継ぎにもなります。この講座では、毎回ここに足していきます。
希望収集シート(スタッフA〜F・1週間)/1週間分のシフト表のたたき台(AIの出力を表計算ソフトに貼り戻したもの)/プロンプト帳(1件以上)。
宿題10分です。ご自分の職場のシフトの決まりごとを、3つ書き出してください。例:夜勤の翌日は必ず休み。日曜は必ず2人以上。実名は入れません。「スタッフ」「主任」のような役職で書きます。会社の決まりごとで、外に出してよいか迷うものは、一般的な言い方に直して書いてください(例:具体的な人数は「必要人数」)。書いたものは、次回のルールブックの材料になります。書けなかった場合は、書けなかった理由で結構です。それも正式な報告です。
後半の第7回から、職場の困りごとを聞き取りに行きます。今日はその理論を先に入れます。手はまだ動かしません。頭の準備です。
昔からの有名なたとえ話があります。お客さんに何が欲しいかを聞くと、「もっと早い馬が欲しい」と答えた。言われたとおり早い馬を育てるのが正解でしょうか。違いますね。この人の本当の望みは「速く移動したい」ことです。だとすれば、答えは馬とは限りません。自動車かもしれません。
要望=「〜が欲しい」という解決策の指定(例:早い馬が欲しい/シフト表のアプリが欲しい)。要求=「〜で困っている」「〜できる必要がある」という、満たすべき条件(例:速く移動したい/月末の調整に3日かかって困っている)。要望は、その人が思いつけた解決策にすぎません。
介護の現場に置き換えます。「シフト表のアプリが欲しい」と言われたとします。要望どおりアプリを探して入れる。でも使われない ── よくある失敗です。掘ってみると、本当の困りごとは「月末の3日間、主任が夜まで調整して、翌月に『聞いていない』と職員から不満が出る」ことだった。だとすると、満たすべき要求は「希望収集の漏れをなくす」「調整の結果が全員に同じ形で伝わる」。作るべきものが、変わってきます。
1つ目は観察です。人は、自分の慣れた作業を正確には説明できません。慣れるほど、手が勝手に動くからです。だからまず、口を出さずに作業を見せてもらいます。2つ目が質問の型です。次の5つを、そのまま使います。
問1「その作業、最後にやったのはいつですか。そのとき、何をしましたか」(一般論ではなく、直近の事実を聞きます)/問2「一番時間がかかるのは、どの部分ですか」/問3「それをやらないと、誰が困りますか」/問4「今は、どうやってしのいでいますか」/問5「もし魔法でひとつ消せるなら、どの手間を消しますか」
「AIで何かできませんか」と聞くこと。手段から入ると、要望しか出てきません。
問4だけ、理由を補足します。人は、本当に困っていることには、必ず何か応急処置をしています。付箋を貼る。二重にメモする。前日に電話で確認する。しのぎ方が存在するなら、その困りごとは本物です。しのいでもいないなら、実はそれほど困っていないのかもしれません。
この五問は、キットの耐水カードにも刷ってあります。第7回から、送迎の困りごとを相手に、実際に使います。今日は、カードの存在を覚えて帰るところまでで十分です。
シフトの不満が噴き出す場所は、だいたい2つに決まっています。個人の我慢ではなく、決まりごとで公平を作る ── その決まりごとが、3点セットの2つ目です。
1つ目は夜勤回数の偏りです。夜勤に入れる人、資格を持つ人に、夜勤が集中します。2つ目は土日出勤の固定化です。休み希望が土日や行事の日に重なり、出られる人がいつも同じ顔ぶれになる。どちらも「いつも私ばかり」という言葉になって現れます。
現場の定石は、ルールにしてしまうことです。「休み希望は月3日まで」「夜勤回数の差は月1回以内」── 個人の我慢ではなく、決まりごとで公平を作ります。今日AIに渡すルールブックは、まさにこれです。
介護・障害福祉のシフトには、法令上の条件がかかっています。利用者何人に対して職員何人という人員配置基準。パートの労働時間を常勤何人分と数え直す常勤換算。夜間の最低人数。資格を持つ人を置く要件。行政に提出する勤務形態一覧表。これらはサービスの種類によって数値が異なり、報酬改定でも変わります。具体的な数値は、そのときどきの厚生労働省の資料でご確認ください。この本では断定しません。
本講座の演習では、いま挙げた制度上の条件は扱いません。演習は架空の6人と簡易ルールに限定します。制度の条件まで自動で判定する仕組みは、12時間の範囲を超えます。持ち帰るのは「条件を箇条書きにしてAIに渡し、たたき台を出させて、人間が点検する」という型です。型は同じまま、条件の中身を職場の実物に差し替えるのは、修了後の仕事です。
教材の見本です。メモ帳(またはWord)に打ち込みます。
| 見本のルールブック(様式3・7か条) | |
|---|---|
| ① | 夜勤の翌日は、必ず休みにする |
| ② | 各日の必要人数は、早番1名・日勤2名・遅番1名・夜勤1名とする |
| ③ | 連続勤務は5日までとする |
| ④ | 夜勤回数の差は、スタッフ間で1回以内とする |
| ⑤ | 土曜・日曜の休みを、全員に最低1回ずつ置く |
| ⑥ | 時短のスタッフは、早番・遅番・夜勤に入れない |
| ⑦ | ×(休み希望)の日には配置しない |
②に注目してください。前回は日勤2名・夜勤1名だけの単純な形でした。今日は早番・遅番が加わって、1日4枠です。現実に一歩近づきます。それでも本物よりずっと簡単です。それでいいのです。型の練習ですから。
差し替えるときも、実名を入れない・1行1ルール・番号を振る、は同じです。
職場のルールが複雑で1行にならない ── 今日は前半だけ1行にして、残りは「メモ」として下に書いておきます。1行にする練習は、第9回の依頼シートでも扱います。/「月3日まで」のような月単位のルールを書いた ── 良いルールです。ただ今日の演習は1週間分なので、「週1日まで」のように週の形に直しておきます。
ルールブックv1(番号付き・書きかけで構いません)/聞き取りの五問カードの存在/あいまい語がAIに通じない理由 ── 通じるのは、数字と条件だけです。
宿題10分です。ルールブックを仕上げてください。見本7か条を全部打つか、ご自分の職場の決まりごとへの差し替えを仕上げるか、どちらでも構いません。次回、この完成したルールブックをAIに渡して、守らせます。ここからが、前半の山場です。
前回作ったルールブックを、いよいよAIに渡します。この回で覚えるのは、守れなかったときに正直に申告させる頼み方です。
AIは、守れない条件があっても、黙って、それらしく埋めてしまうことがあります。表の見た目は整っているのに、中身は成り立っていない ── これが、いちばん見つけにくい失敗です。
そこで、指示文のほうに先手を打ちます。「守れなかったら、勝手に調整せず、正直に書いてください」という一文を、最初から入れておくのです。埋まらない日を知ることが、シフトを組む仕事の出発点だからです。
以下の勤務希望表とルールブックにもとづいて、1週間のシフト表のたたき台を作ってください。 表の記号は、○=勤務可、×=休み希望、夜=夜勤可の日です。 ルール①〜⑦を必ず守ってください。 守れなかった箇所がある場合は、勝手に調整せず、表の下に「未充足」として、ルール番号と理由を箇条書きで書いてください。 表の右端に、各スタッフの夜勤回数と土日出勤回数の集計列をつけてください。
AIに向けて打ち込む文章のことを、プロンプトと言います。この講座では「指示文」と呼び替えて進めます。使った指示文は、毎回「プロンプト帳」に控えていきます。控えは、ツールの設計図であり、次の担当者への引き継ぎ書でもあります。
指示文の最後の一行で、表の右端に夜勤回数と土日出勤回数の集計列をつけさせました。これを公平カウントと呼びます。シフトの不満の多くは、感情ではなく回数の偏りとして語られます。数えられる形にしておくと、話し合いの土台ができます。
ただし、集計列が出たら終わりではありません。AIの数え違いはあり得ます。自分の目でも数えて、合わせてください。 足し算で確かめる ── これが、この講座で作る技能と対になる技能です。
AIができるのは、回数を数えて並べることまでです。「夜勤の差が1回なら公平か、2回でも事情があれば納得か」── これは職場の事情を知っている人にしか判断できません。数えるのはAI、公平かどうかを判定するのは、あなたと職場です。この線引きは、講座の最後まで変わりません。
作った本人に「問題ありませんか」と聞いても、あてになりません。人間も、AIも同じです。
表を作ったチャットの中で「間違いはありませんか」と聞くと、AIは自分の答えを弁護しがちです。そこで、新しいチャットを開いて、そこに点検だけをさせます。作る係と、点検する係を分ける ── ソフトウェアの現場でも、製造の現場でも使われている考え方です。
新しいチャットに貼るものは三つです。①さきほど出てきたシフト表 ②ルールブック ③次の指示文(プロンプト集3番)。
あなたは点検係です。 以下のシフト表が、ルールブック①〜⑦に違反していないかを、ルール番号ごとに1つずつ点検して、○×と理由を表で報告してください。 違反が1つも無い場合も、各ルールをどう確認したかを書いてください。
最後の一行が要です。これが無いと、点検係は「問題ありません」の一言で終わってしまいます。どう確かめたかを書かせるから、こちらもその確かめ方を評価できるのです。
| 起きたこと | そのまま打ち足す言葉 |
|---|---|
| 集計列がつかない | 表の右端に、各スタッフの夜勤回数と土日出勤回数の集計列を追加してください。 |
| ルールブックにない決まりを勝手に足した | ルールブックにないルールを足さないでください。①〜⑦だけで作り直してください。 |
| 点検係が「問題ありません」だけで終わる | 違反が無い場合も、各ルールをどう確認したかを書いてください。 |
| 点検で×が見つかった | (元のチャットに戻って)ルール◯が守られていません。直してください。 |
実際には守られているのに、AIが×と言うことがあります。それも織り込み済みです。最後に確かめるのは、自分の目です。この感覚は、第6回の意地悪テストで体に入れます。今日は「点検を分ける」型を持ち帰れば十分です。
ルールを守らせたたたき台(守れなかった箇所の自己申告つき)/公平カウントの列がついた表/点検係の指示文と、その報告の記録/プロンプト帳に足した3件。
宿題15分です。自分の職場ルール版のルールブックで、2週間分のたたき台を1回生成し、守られなかった箇所をメモしてください。指示文は、上の2番の「1週間」を「2週間」に変えるだけです。職場のルールのうち、外に出してよいか迷うものは、一般的な言い方に直してから使ってください。勤務時間内に、上司の了解を取ってから行ってください。できなかった場合は、できなかった理由の報告で結構です。それも正式な報告として扱います。
この回は、手を動かす前に頭を整える日です。作る前に決めることと、作る順番。この二つを入れてから、次回、自分のツールを壊しにいきます。
作る前に「何ができれば完成か」を決めることです。難しそうな言葉ですが、中身は三つの質問に答えるだけです。この講座では、答えを書いた1枚を完成条件メモと呼びます。第9回で、五つの欄をもつ「依頼シート」に育てます。
| 欄 | 書き方の決まり |
|---|---|
| 【誰が使う】 | 役職名と、パソコンの得意度まで書きます(例:シフト作成担当の主任。表計算は表を触れる程度)。 |
| 【何ができれば良い】 | 動詞で3〜5個。「便利になる」は失格です。「入力が5分から1分になる」まで具体に書きます。 |
| 【どうなったら完成】 | チェックできる文で書きます(例:主任が見て、手直しなしで翌月の掲示に使える)。 |
| 【今回はやらないこと】 | 先に決めておくと、途中で迷子になりません。 |
今回やる範囲のことです。「やらないことリスト」は、範囲を先に決めておくための方法です。
【誰が使う】シフト作成担当の主任(表計算は表を触れる程度) 【何ができれば良い】 ・スタッフ6名の希望表とルールブックを貼ると、1〜2週間のたたき台が出る ・守れなかったルールは「未充足」として自己申告される ・夜勤回数と土日出勤の公平カウントが右端につく 【どうなったら完成】点検リスト10項目を全部○にでき、A4横1枚で印刷できる 【今回はやらないこと】人が手を入れずにすべてを自動で決めること/勤怠システムとのつなぎこみ/配置基準の自動判定/実名での運用
なぜ、これを書くのでしょうか。この1枚が、そのままAIへの指示文の材料になるからです。決めたことが曖昧なら、出てくる答えも曖昧になります。入れたものの質が、出てくるものの質を決める ── AIを使う仕事の鉄則です。
よくある失敗は、完璧な計画を立てて一発で完成させようとすることです。正しい手順は、その逆です。
飾りはゼロでも、中心の困りごと一つは解決する、いちばん小さな試作のことです。「それだけでも一応使える」が肝心です。
車を作るとき、タイヤ、車体、完成車の順に作ると、完成の日まで誰も何にも乗れません。そうではなく、まずスケートボードを作ります。粗末でも、今日から移動に使えます。乗ってもらうと「ハンドルが欲しい」と分かる。次はキックボードにする ── 小さく作って、使いながら育てる、という考え方です。
試す相手の順番も決まっています。最初は自分。次に隣の同僚1人。全体に配るのは、いちばん後です。
自動シフト表で言えば、いちばん小さい試作は第2回のあれでした ──「希望表を貼ると、×の日を避けた表が出る」。早番も遅番も公平カウントもまだ無い。それでも「希望の転記ミス」という困りごと一つは、あの日すでに消えていたのです。皆さんはこの数週間、小さく作って育てる手順そのものを歩いてきました。
同じ入力でも、AIの答えが毎回少し変わる性質です。故障ではなく、仕組み上そうなっています。
用語:ハルシネーション(でっち上げ)AIが、もっともらしい嘘を自信満々に言う現象です。埋められない表を勝手に埋める、いない職員を作る、といった形で出ます。
この二つがあるから、人間の点検が最終工程なのです。そこで、わざと意地悪な入力を与えて、壊れ方を確かめます。意地悪テストと言います。製造業やソフトウェア開発で実際に使われている点検のやり方です。この回は講師が3本やって見せます。実施は次回、皆さんの手で行います。
| ケース | 与える意地悪 | 合格の振る舞い |
|---|---|---|
| 1 | 全員が水曜に×を付けた希望表 | 水曜を「人員不足」と書く(勝手に埋めたら、でっち上げ) |
| 2 | 「夜」を全員から消した表 | 夜勤に誰も置かず、不足を書く |
| 3 | スタッフFの行を空欄にした表 | 「スタッフFの希望が不明」と書く(○扱いにしない) |
でっち上げが出たときは、慌てずに次の2行を足します。防御プロンプト(プロンプト集4番)と呼びます。以後、シフト表の指示文には毎回これを添えます。
不足や矛盾があっても、勝手に埋めたり、書かれていない情報を推測で補ったりしないでください。 埋められない場合は「人員不足」、情報が足りない場合は「情報不足」と、表の下にはっきり書いてください。
完成条件メモ(シフト表版・自分の言葉で書いたもの)/意地悪テストの観察メモ/プロンプト帳に足した防御プロンプト。
宿題準備だけです。郵送キットの「意地悪データカード」3枚を、次回までに手元に出しておいてください。次回の冒頭からすぐ使います。あわせて、上の防御プロンプトをプロンプト帳に貼っておいてください。次回は、皆さんの手で自分のツールを壊しにいきます。壊れても、誰も困りません。架空の6人ですから。
前回の予告編を、今日は自分の手で実施します。壊れ方を知っている道具だけが、安心して使える道具になります。
3ケースとも正しく動いてしまい、でっち上げが観察できないことがあります。それは結構なことです。ただし「今日出なかった」は「明日も出ない」ではありません。AIの答えは毎回少し変わります(非決定性)。防御プロンプトは、保険としてプロンプト帳に入れておいてください。
表の作り替えに時間がかかる場合は、ケース1だけで結構です。観察の型が身につけば、今日は十分です。AIが長い言い訳を書いてきたら、「結論だけ、表の下に1行で書いてください」と注文をつけ直してください。
たたき台を、職場に貼れる形にします。表計算ソフトでの手順は六つです。
Google スプレッドシートをお使いの方は、罫線=ツールバーの田の字のアイコン、印刷の向き=「ファイル」→「印刷」→「横向き」、収まりの確認も同じ印刷画面で行えます。収まらないときは、列幅を狭くするか、文字サイズを小さく(ホーム →「フォントサイズ」→ 10)してみてください。
自分のツールの取扱説明書を、A4・1枚で書きます。次に使う人が、あなたに聞かずに使えることが目標です。
| No. | 点検する項目 | 確認 |
|---|---|---|
| 1 | 各日の必要人数が埋まっているか | |
| 2 | ×の日に配置されていないか | |
| 3 | 夜勤の翌日が休みか | |
| 4 | 連続勤務が5日以内か | |
| 5 | 時短スタッフの配置が正しいか | |
| 6 | 夜勤回数の差が1回以内か | |
| 7 | 土日出勤に偏りがないか | |
| 8 | 「未充足」の表示を確認したか | |
| 9 | でっち上げ(表にない名前・記号)がないか | |
| 10 | 最終確認者のサイン欄に記入したか |
ツールが担うのは、たたき台を出すところまでです。シフトは働く人の生活に直結します。誰がいつ働くかを決めるのは、最後まで人の仕事です。サイン欄は、その線を紙の上に残すための欄です。時間が余った方は、ツールに名前をつけて、メモの表題にどうぞ(例:「シフト下書き係」)。名前は自由です。
「この型で、私の職場の◯◯ができる」── 1行だけ書いてください。表を貼ってたたき台を出させ、点検リストで確かめる。この型が効きそうな、自分の仕事を一つ。講座の後半は全員で送迎表を作りますが、皆さん自身の職場の課題は、このメモが覚えておいてくれます。 最終回に、このメモの最終版を書きます。
前半6回で、皆さんは3点セット ── 希望収集シート、ルールブック、点検リスト ── を全部自分の手で作り、意地悪テストで鍛え、紙1枚の取扱説明書までつけました。入力表とルールブックと点検リストをAIに渡して、たたき台を出させ、人間が仕上げる。 この型が、皆さんの一生ものの持ち物です。後半は同じ型を、もう一つの現場仕事「送迎表」の上で、こんどは聞き取りから皆さん自身の手で組み立て直します。答えは先に見せません。皆さんはもう、型を持っているからです。
意地悪テストの記録(3ケース)/印刷できる形に整えたシフト表(A4横1枚)/使い方メモ(A4・1枚)/橋渡しメモの1行。
宿題二つあります。①職場の送迎担当の方を1人選んで、「今度10分だけ、送迎の困りごとを聞かせてください」と声をかけておいてください(約束を取るだけです。聞くのはまだ先です)。送迎のない職場の方は、送迎に限らず段取りの仕事をしている方 ── 訪問の順番決め、行事の準備、配達など ── で結構です。②橋渡しメモに書いた仕事について、その作業を最後にやったのはいつだったかを思い出しておいてください。声をかけられなくても、その理由が正式な報告です。 相手が見つからない方には、講師が相手役を務めます。
ここから2周目に入ります。題材は送迎表です。今回は、作り始める前に「何に困っているのか」を聞き取ります。
ツールが動いたことと、答えが正しいことは、別の話です。画面に表が出て、エラーも出ない。けれども中身の数字が違っている ── これが、いちばん怖い状態です。動かないツールは使われないだけですが、間違って動くツールは、間違いを配ってしまいます。
では、正しさはどう確かめるのでしょうか。答えが分かっている問題を、先に解かせます。自分の手で作った1週間分の表を用意しておき、同じ条件をツールに入れる。出てきた表と、手作りの表を並べて比べる。一致して初めて「正しい」と言えます。テストとは、突き詰めれば、これだけのことです。
① 数字は自分で数え直す(合計・人数・日付。AIは、計算をそれらしく間違えます)。② 「本当ですか。根拠は何ですか」とAI自身に聞き直す(それで確定するわけではありませんが、ほころびが見えることは少なくありません)。③ 人事・お金・健康・安全にかかわる判断は、AIの出力を最終決定にしない。決めるのは人です。
送迎表を作る人は、頭の中で何を考えているでしょうか。誰を、どの車に、どの順番で、何時に乗せるか。車には定員があります。車椅子のまま乗れる車は、たいてい1台だけです。チャイルドシートが要るお子さんがいます。ひとりで座席に座るのが不安で、隣に職員が要るお子さんがいます。放課後等デイサービスであれば、学校ごとに下校時刻が違い、行事で毎週のように変わります。ここまでを毎日、頭の中とホワイトボードで組んでいる ── それが送迎担当の日常です。
現場では、これを「送迎表」という紙にします。誰が乗るか、車は何か、誰が運転し、誰が添乗するか。この表があるから、担当者が休んでも送迎は回ります。裏を返せば、この表が頭の中にしかない事業所では、送迎はその人だけの業務(属人業務)になっています。送迎は、おまけではなく本体業務です。ただし報酬上の細かな取り扱いは事業の種別によって異なり、改定もありますので、この本では断定しません。ご自身の事業所での扱いは、現行の一次資料でお確かめください。
2022年9月、静岡県で、通園バスの中に置き去りにされたお子さんが亡くなる事案がありました。これを受けて国は対策をまとめ、2023年4月から、送迎用バスでの降車時の所在確認などが求められるようになりました。安全装置の装備義務の範囲など、制度の細かい適用は施設の種類によって異なり、変わることもあります。この本では断定しません。ご自身の事業所での適用は、こども家庭庁などの現行の資料でお確かめください。
ここで覚えて帰っていただきたいのは、条文ではなく順序です。乗せ忘れ・降ろし忘れの確認は、人の仕事であって、ツールの仕事ではありません。この講座で作る送迎表は、人が確認するためのサイン欄を、最後に必ず持ちます。確認をツールに肩代わりさせる設計は、しません。
送迎の話をすると、氏名・住所・家庭の事情・学校名・下校時刻・お迎えに来る方の続柄まで、一度に集まります。前半で扱ったシフト表で集まるのは、職員の勤務希望でした。送迎表はそれとは重さが違います。「そのお子さんが、何時に、どこにいるか」という情報そのものだからです。ひとたび外に出れば、取り返しがつきません。
ですから、この講座では記号で作ります。扱うのは、記号の利用者A〜Fと、公民館前・コンビニ北といった架空の目印地点での、乗車割当と順序のたたき台までです。実在するご住所は使いません。実在の地図とのつなぎ込みもしません。実際の道のりの確認は、運転する職員の下見と、ふだんお使いの道案内の仕組みにお任せします ── そこは、この講座の範囲の外です。
① 利用者は記号A〜F、場所は架空の目印名で書きます(様式に、実在するお名前やご住所を書く欄そのものがありません)。② たたき台は記号のまま出力し、記号と実名の対応は、事務所の紙の対応表で人が扱います。③ 順路の検討は、架空の町の所要時間表だけで行い、AIの提案は自分の足し算で確かめます。④ 乗り降りのときの所在確認は、人の仕事として残します。
前半で覚えたカードを、今日から実戦で使います。手元にカードを出してください。この五問は、順番どおりに使うと、相手が自分でも気づいていなかった困りごとまで出てきます。
| 問 | そのまま使える言葉 | この問のねらい |
|---|---|---|
| 問1 | その作業、最後にやったのはいつですか。そのとき、何をしましたか | 一般論ではなく、直近の事実を聞く |
| 問2 | 一番時間がかかるのは、どの部分ですか | 手間の重心を見つける |
| 問3 | それをやらないと、誰が困りますか | 困る人を名指しする |
| 問4 | 今は、どうやってしのいでいますか | しのぎ方があること=困りごとが本物である証拠 |
| 問5 | もし魔法でひとつ消せるなら、どの手間を消しますか | 本人が消したい手間を、本人に選ばせる |
「AIで、何かできませんか」と聞くこと。手段から入ると、返ってくるのは「便利なやつを、いい感じに」だけで、作るものは1ミリも決まりません。困りごとから入ります。
今回、講師は送迎担当の主任Kさんへの聞き取りを、最初から最後まで演じました。途中で、わざと二度失敗しています。
想像で埋めるのは、AIのでっち上げと同じことです。だから最後に「合っていますか」と、本人に直してもらいます。直されるのが正解です。
① 実名を書かない(役職で書きます。「送迎担当の主任」「パートの運転手さん」)。② 思い出せない数字は「◯」のまま残す(想像で埋めない。来週、本物の聞き取りで確かめる欄です)。
聞き取りの五問カードの使い方/聞き取りシート(送迎版・書きかけで結構です)/「乗り降りの所在確認は、人の仕事」という線引き。
宿題声をかけておいた方へ、10分の聞き取りをしてください。カードを見ながらで構いません。最後に必ず一文にまとめて、「合っていますか」と本人に直してもらいます。メモは役職で書きます。送迎の話には、お子さんのお名前・ご住所・学校名が自然に出てきます。メモには書かない。出てしまったら、その場で消す。聞けなかった場合は、その理由をお知らせください ── それも正式な報告です。相手がいない方は、次回までに講師との個別10分をご予約ください。帰り道に一つだけ、「この人のしのぎ方は何だったか」を思い出してメモを。しのぎ方は、ツールの設計図の原石です。
聞き取った材料を、たった一文に圧縮します。そのうえで、解き方を三つに広げます。作らない案から考えるのが、この回のかんどころです。
本番の聞き取りができた方は、まとめの一文をチャットに貼ってください。貼る前に、実名やお子さんの学校名が混じっていないか、目で確かめてから貼ります。聞けなかった方は、その理由をお知らせください。同じ重さの報告です。「違います」と相手に直された、という報告があれば、それがいちばんの成果です。
【誰が(役職)】が、【いつ(場面)】に、【何を】、【1日・1週・1月あたり◯回】・【1回◯分】かけてやっていて、【何がつらい】
前回の実演を、この型に入れてみます。
「送迎担当の主任が、毎夕、翌日の乗車割当の組み直しを、1日1回・30分(変更の電話がある日は約60分)かけてやっていて、組み直した日ほど乗せ忘れが怖いのがつらい」
数字が入ると、困りごとは急に具体的になります。そして末尾の「何がつらい」に、時間だけでなく安全が入りました。ここが、送迎の一文の特徴です。分からない数字は「◯」のままで構いません。空欄は、嘘より誠実です。
| 観点 | 直し方 |
|---|---|
| 主語が役職になっているか | 実名・イニシャル・学校名は、役職や記号に言い換えます |
| 回数と分数が入っているか | 「大変」「忙しい」だけでは量が決まりません。◯回・◯分を入れます |
| 解決策が混ざっていないか | 「〜のアプリが無くて困る」は要望です。困りごとの事実だけに戻します |
一文が三行になってしまう方は、主語をひとつに絞ってください。困っている人が二人いるなら、一文を二本に分けます。今日は一本で十分です。
困りごとが一文になったら、解き方を三つ用意します。
大事なのは、Aから考えることです。何でも作る人より、「作らない」を言える人のほうが信頼されます。送迎で言えば ──「ホワイトボードの割当を、決まった様式の紙に変えて、毎日同じ場所に置く」。それだけで、「前の晩にホワイトボードを携帯で撮っておく」というしのぎ方が要らなくなるかもしれません。それならAです。Aが思いつかない方は、聞き取りの問4に戻ってください。いまの「しのぎ方」を整えて全員に配る ── それが立派なA案です。
送迎には、専門の製品がすでにあります。車の位置が画面で見える仕組み、送迎計画の専用システム、見守りのサービス。台数が多い、拠点が多い、実際の道路の状況を毎日その場で計算したい ── そういう規模になったら、この講座の作り方では届きません。届かないと分かることも、技術です。次回の「外部依頼の四行」は、そのときのための紙です。
送迎版でいえば、「利用者の一覧表とルールを貼ると、曜日ごとの乗車割当のたたき台が出る」。順路の工夫も、印刷の整形も、まだ無くて構いません。小さく作って、自分で試して、隣の一人に試してもらう。その順です。
案を通すための知恵です。① 使う人(送迎担当)② 決める人(管理者・経営者)③ 守る人(個人情報と、送迎では安全運行に責任を持つ人)④ 守られる人(利用者さんとご家族)。送迎では、④の役割がとりわけ重くなります。文字どおり、命を守られる人だからです。この四人のうち一人でも忘れると、ツールは使われません。
全部がCに見えるとき ── Cの中から、たたき台だけをBとして切り出せないか考えます。「実際の道路の状況をふまえて順路を出す」は無理でも、「記号の割当表のたたき台を出す」ならBです。AとBの区別がつかないとき ── Aは「作らない」。紙の様式ややり方を変えるだけです。Bは「AIに出させるものを作る」。AIが出てこなければ、それはAです。
困りごとの一文(送迎版)/三案シート(書きかけ)/四人の登場人物という数え方。
宿題15分です。三案シートを完成させてください。A・B・C・推薦する案・四人の登場人物まで。次回、AIに反対意見を言わせて、このシートを磨きます。
三案をAIに叩いてもらい、推薦する案を「作れる形の紙」に落とします。決めるのは、あくまで現場のあなたです。
手順は三つです。① シートの推薦案の部分をコピーする。② AIの新しいチャットに、次のプロンプト(AIへの指示文)と一緒に貼る。③ 返ってきた心配のうち、納得できるものを一つ選んで、シートを一か所だけ書き直す。
順番を守ってください。シートを先に書く。そのあとでAIに聞く。逆にはしません。AIに案そのものを考えさせない、ということです。案は、現場の皆さんの仕事です。
あなたは介護・福祉の現場で長年働いてきたベテラン職員です。 次の案について、現場の立場から心配な点を3つ、現場の言葉で挙げてください。 (ここに三案シートの推薦案を貼る)
それが普通です。想定と違う心配が出たら、慌てずに一つ選び、「この心配は、依頼シートの④に書き足そう」と受けて先へ進みます。心配が三つ出なければ「現場の立場から、あと◯つお願いします」と追加で頼みます。的外れな心配しか出ないこともあります。的外れだと自分で判定できることも、点検の技術です。
推薦案を、作れる形の紙に落とします。第5回で書いた「完成条件メモ」を、五つの欄に育てたものが依頼シートです。とくに③と④ ──何を覚えさせ、何をさせないか── が、送迎ツールの安全設計の心臓部です。
| 欄 | 何を書くか | 送迎版の記入例 |
|---|---|---|
| ① 誰が使う | 役職+パソコンの得意度 | 送迎担当の主任(表計算ソフトの表を触れる程度) |
| ② 画面に何が見える | 開いたときに見えるもの・押すもの | 利用者一覧表(記号)と送迎ルールブックを貼る欄。送ると、便別・車別の乗車割当表のたたき台が出て、守れない箇所は「未充足」「割当不能」と表示される |
| ③ 何を覚えておく | ツールが保存しておく情報。個人情報は入れない設計にする | 目印地点の名前と、地点間の所要時間表だけ。お名前と場所の対応は、事務所の紙の対応表で人が管理する |
| ④ してはいけないこと | 入れない情報・させない判断・変えられない様式 | 実在するお名前とご住所を入れない/実在の地図や道案内の仕組みとつながない/乗り降りのときの所在確認をツールに代行させない/お迎えの時刻帯を勝手にずらさない |
| ⑤ 完成の条件 | チェックできる文で。「この入力なら、こう出る」の見本を一つ添える | 金曜の利用者一覧を貼ると、ルール①〜⑧を守った割当表が出て、守れない場合は「割当不能」と表示され、最後に「最終確認は送迎担当が行う」と表示される |
③をよく見てください。覚えさせるのは、目印地点と所要時間表だけです。欄を作らなければ、うっかりも起きません。④には、この講座の線引きがそのまま入ります。⑤を先に書かない注文は、あとで必ずもめます。AIも、人間の業者も、同じです。
もう一枚、様式があります。C案(プロに頼む)を選んだときに、業者に渡す四行です。これだけで、話がずいぶん噛み合うようになります。
| 行 | 送迎版の例 |
|---|---|
| ① 完成の条件 | 全車両の当日の走行位置が事務所の画面で見え、到着の遅れがご家族に自動で伝わる |
| ② 変えられないもの | 乗り降りのときの所在確認は職員が行う運用/現在の車両台数 |
| ③ 出してはいけない情報 | 利用者の氏名・住所・学校名は、契約と管理体制が確認できるまで渡さない |
| ④ 確かめ方 | 1台・1週間の試験導入で、位置表示のずれと通知の遅れを記録して判定する |
この四行を書けない人が、高い買い物をさせられます。依頼シートが書ける人は、この四行も書けます。同じ技能です。四行で止める勇気も、練習のうちです。
次回までの宿題は、依頼シートを上司に見せて、ひとことをもらうことです。赤字でも、「良いですね」でも構いません。何ももらえなければ、質問を一つもらってくる。それも成果です。上司の方には、会社を通じて先にお願いしてあります。突然ではありません。
「研修の課題で、紙を1枚お見せすることになっています。3分だけ、お時間をいただけますか」
「赤字でも、良い点でも、質問1つでも、どれでも助かります」
見せる前に、一つだけ確かめてください。依頼シートの④「してはいけないこと」に、「実在するお名前とご住所を入れない」の一行が入っているか。この一行があるかどうかで、上司の受け取り方が変わります。
上司が不在だった、時間が取れなかった ── そのまま書いて、そのまま持ってきてください。この講座では、できなかった理由を責めません。事実が分かれば、次の一手を一緒に考えられます。
三案シート(AIの反対意見で磨き済み)/依頼シート(送迎版・五欄)/外部依頼の四行。この三枚が、次回から作り始めるときの設計図になります。
宿題依頼シートを上司に見せて、ひとことをもらってくること。見せる前に、④に「実在するお名前とご住所を入れない」の一行があるか確かめること。
前半でシフト表に使った手つきを、そのまま送迎表へ移します。名前も住所も入れないまま、乗車割当表のたたき台を出すところまで進みます。
第1回から毎回唱えてきた三原則 ──「入れない」「記号にする」「迷ったら入れない」── を、もう一段深いところで確かめます。前半で作ったシフト表ツールに、実名は1文字も入っていませんでした。それでも、希望を集める・ルールを守らせる・公平を数える、という仕組みはすべて動きました。今日の送迎表も同じです。ツールの骨組みに、名前も住所も要りません。名前は、最後に人間が紙の上で差し替える「ラベル」にすぎません。これが原則2「記号にする」の本当の意味です。
危ない場面には型があります。たとえば「利用者さんの様子をAIに要約させたい」と考えて、ケース記録を丸ごと貼りつける。これは原則1に反します。正しい手順は、記録の実物ではなく「80代・要介護3・下肢筋力低下」のような属性のラベルだけに落としてから渡すことです。それでも迷うときは、原則3。入れません。
実在のご住所は使いません。実在の地図と連携させることもしません。降車時の所在確認をツールに代行させることもしません。理由は2つあります。1つは、住所は個人情報のなかでも家までたどり着ける情報で、漏れたときの影響が大きいこと。もう1つは、入れなくても仕組みは完成することです。手順は二段構えです。教室では記号と架空の町で仕組みを作り、職場では紙の対応表を使って人間が名前と地点に置き換えます。
修了後に「実名で運用したい」となったときは、次の4つを先に確かめます。送迎の場合はさらに条件が重なりますが、その全文は第12回でお渡しします。
ツールが職場で使われはじめる前に、答えておきたい5つの問いです。①そのツール(と入力したデータ)は、どこに保存されますか。②AIの会社に学習されない設定になっていますか。確認した記録はありますか。③誰が見られますか。退職した人のアカウントはどうしますか。④間違った答えに、誰が気づきますか。⑤作った人が退職したら、誰が直しますか。
すべてに即答できなくても構いません。「持ち帰って確認します」も正解のひとつです。確認する先が分かっていることが、この五問の合格です。
今日の教材は3枚です。まず様式16・利用者一覧表。利用者はA〜Fの6人。列は5つだけです。
| 利用者 | 属性ラベル | お迎え目印地点 | 利用曜日 | お迎え時刻帯 |
|---|---|---|---|---|
| 利用者A | 車椅子 | 公民館前 | 月・水・金 | 15時台 |
| 利用者B | チャイルドシート | コンビニ北 | 火・木 | 15時台 |
| 利用者C | 添乗必要 | 郵便局前 | 月〜金 | 16時台 |
| 利用者D | (特記なし) | 小学校東門 | 月・火・木 | 15時台 |
| 利用者E | チャイルドシート | スーパー南 | 水・金 | 16時台 |
| 利用者F | 車椅子 | 公園西口 | 火・木 | 16時台 |
名前の欄も、住所の欄も、学校名の欄も、この表には存在しません。目印地点はすべて架空の地点名です。「入力しないよう注意する」のではなく、入力する欄がない。これが安全な様式の設計です。属性ラベルは、車両の割当に必要なものだけを書きます。理由や診断名は書きません。職場でこの型を再現するときも、ここを守ってください。
次に様式17・車両一覧表です。職員も記号で、運転できる職員はP・Qの2名、添乗に入れる職員はR・Sの2名とします。
| 車両 | 種別 | 乗車定員(運転手を除く) | 車椅子対応 | チャイルドシート |
|---|---|---|---|---|
| 車両1 | 普通車 | 4名 | × | ○(1台設置) |
| 車両2 | ワゴン | 6名 | × | × |
| 車両3 | 福祉車両(リフト付き) | 3名+車椅子1名 | ○ | × |
3枚目が様式18・送迎ルールブック。前半のルールブックと同じ書き方(番号をふる・1行に1ルール・あいまいな言葉を使わない)の、送迎版8か条です。
手順は前半と同じです。表を貼る → ルールを貼る → 指示文を貼る。AIの「新しいチャット」を開き、様式16の利用者一覧表を範囲選択してコピー(Ctrl+C)、チャット欄に貼り付け(Ctrl+V)。続けて様式17の車両一覧表、様式18のルールブック8か条を貼り足します。3枚が1つの入力欄に入ったら、その下に次の指示文(プロンプト集7番)を貼ります。
以下は、利用者A〜Fの一覧表(属性・お迎え目印地点・利用曜日・お迎え時刻帯)と、車両1〜3の一覧表、送迎ルールブックです。 【対象の曜日:金曜】について、どの利用者をどの車両のどの便に乗せるかの「乗車割当表」のたたき台を、行=車両と便、列=時刻帯・乗車する利用者・運転(PまたはQ)・添乗職員(RまたはSの有無)、の表で作ってください。 ルール①〜⑧を必ず守ってください。 守れなかった箇所がある場合は、勝手に調整せず、表の下に「【未充足】」として、ルール番号と理由を箇条書きで書いてください。 割り当てられない利用者がいる場合は、勝手に詰め込まず、表の下に「【割当不能】」として利用者の記号と理由を書いてください。 表の右端に、各便の「乗車人数/定員」の欄をつけてください。
金曜に利用があるのは、利用者A・C・Eの3人です。たとえば、次のような表が返ってきます。隣の人と違う表が出ても正常です。
| 車両・便 | 時刻帯 | 乗る利用者 | 運転 | 添乗 | 乗車人数/定員 |
|---|---|---|---|---|---|
| 車両3・1便 | 15時台 | 利用者A | P | ─ | 車椅子1名/車椅子枠1名 |
| 車両1・2便 | 16時台 | 利用者C・利用者E | Q | R | 3/4 |
前半では公平を数えました。送迎では、公平より先に安全を数えます。数えるのは、乗る利用者の人数と添乗職員の人数の合計です。運転手は数えません(ルール③のとおりです)。あわせて、添乗が必要な利用者Cの便に、RかSが乗っているかを目で確かめます。
前半で覚えた「作る係と点検する係を分ける」を、送迎版でも行います。新しいチャットを開き、①いま出た割当表 ②様式16・17の2枚 ③様式18のルールブック ④次の指示文(プロンプト集8番)を貼ります。
あなたは点検係です。 以下の乗車割当表が、送迎ルールブック①〜⑧に違反していないかを、ルール番号ごとに1つずつ点検して、○×と理由を表で報告してください。 違反が1つも無い場合も、各ルールをどう確認したかを書いてください。 特に、車椅子・チャイルドシート・定員・添乗の4点は、利用者一覧表と車両一覧表に突き合わせて確認してください。
一覧表にない利用者・車両・職員(車両4や職員Tなど)をAIが作り出したときは、次の一文(プロンプト集9番)を足して出し直します ──「一覧表にいない利用者・車両・職員を作らないでください。」前半のシフト表で見た「でっち上げ」の癖が、送迎表でも同じように出ます。
点検係の報告と、自分の手数えが食い違うこともあります。そのときは自分の指を信じてください。AIの点検も間違えます。この食い違いこそ、次回の手検算の予告編です。
たたき台は記号のまま出力します。実名への置き換えは、職場の紙の対応表を使って人間が行います。送迎で最初に数えるのは、公平ではなく定員と添乗、つまり安全です。
宿題15分です。別の曜日(火曜か水曜)でもう一度たたき台を生成し、【の出方をメモして】ください。余裕があれば、第6回の手順(罫線→横向き→改ページプレビュー)で、割当表をA4横1枚に整えてみてください。プロンプト集7〜9番を、プロンプト帳に貼るのも忘れずに。
誰をどの車に乗せるかは、前回で表になりました。残っているのは「どの順で回るか」です。AIに順序を出させ、その答えを自分の足し算で確かめます。この講座の中心にある技術を、今日ひとつだけ持ち帰ります。
第7回の聞き取りで、主任のKさんはこう話していました ──「新人の運転手さんには、私が助手席で道順を口で案内しています。道を覚えているのが私だけなので。」これが今日拾う、最後のひとかけらです。
順番は、静かに手強い問題です。回る場所が4か所なら、順番は24通り。これは数えられます。ところが8か所になると4万通りを超え、10か所では360万通りを超えます。人間は全部は試せません。だから現場では、道を知っている人の経験と勘で決めてきました。つまりルートは属人化の本丸です。
ここでAIの出番になります。ただし、この講座は正直に申し上げます。AIの巡回順の提案は、今日のような小さな規模なら、実用的なたたき台になります。ただし、それが合計時間のいちばん短い順序である保証はありません。それらしい順序を、それらしい理由で出してくることがあります。区間の分数を表と違う数字で書くことも、足し算そのものを間違えることもあります。
では、どうするか。足し算で確かめます。AIの答えの区間を、所要時間表から自分の指で引き直し、自分で足す。合っていれば使う。違っていれば直させるか、使わない。電卓を使ってもかまいません。この技は送迎に限りません。AIと働く人の、一生ものの検証技能です。
今日の舞台は架空の町です。北を上にして並べると、いちばん北にコンビニ北。その一段下に、西から順に公園西口・郵便局前・小学校東門が横に並びます。さらに一段下が公民館前で、その下が出発と帰着の事業所。事業所の南にスーパー南があります。ただし、この位置の説明は雰囲気にすぎません。分数は、必ず下の表から引いてください。
| 出発\到着 | 事業所 | 公民館前 | コンビニ北 | 郵便局前 | 小学校東門 | スーパー南 | 公園西口 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業所 | ─ | 3 | 4 | 5 | 6 | 4 | 7 |
| 公民館前 | 3 | ─ | 5 | 4 | 5 | 6 | 6 |
| コンビニ北 | 4 | 5 | ─ | 4 | 5 | 6 | 6 |
| 郵便局前 | 5 | 4 | 4 | ─ | 4 | 7 | 5 |
| 小学校東門 | 6 | 5 | 3 | 4 | ─ | 8 | 8 |
| スーパー南 | 4 | 6 | 6 | 7 | 8 | ─ | 7 |
| 公園西口 | 7 | 6 | 6 | 5 | 8 | 7 | ─ |
読み方はひとつだけです。行が「どこから」、列が「どこへ」。事業所からコンビニ北へなら、事業所の行を左側で探し、コンビニ北の列を上で探す。ぶつかったマスが4。4分です。指で一度、辿ってみてください。
この表を、行と列で見比べてみてください。行きと帰りの分数がちがう組が、ひとつだけ隠れています。コンビニ北 → 小学校東門は5分。ところが、小学校東門 → コンビニ北は3分です。小学校の東側の道が、登下校の時間帯だけ一方通行という設定だからです。コンビニ北から向かうときは回り道になり、2分よけいにかかります。
実際の道でも、一方通行や右折待ちのために、行きと帰りで時間はずれます。だから表は、いつも「出発→到着」の向きで引きます。「同じ2地点だから同じ分数だろう」と決めつけた瞬間に、合計が2分ずれます。この表の数字が、この町の道のすべてです(渋滞も信号もない、算数だけの町です)。地点はすべて架空の名前で、実在の施設とは関係がありません。
新しく運転に入る職員Qさんの「道おぼえ運転」です。利用者は乗せません。事業所を出発し、コンビニ北・小学校東門・スーパー南・公園西口の4地点を1回ずつ通って、事業所へ戻ります。利用者を乗せないので、定員も添乗も考えなくてよく、順番と足し算だけの問題になります。この4地点は、どれも様式16のお迎え目印地点です。
そして、覚えておいていただきたいことがあります。実際の送迎ルートを、この表で決めることはありません。実際の道順と所要時間は、運転者の下見など、人の目で別途確認して決めます。ここで練習するのは、道ではなく、確かめ方です。
新しいチャットを開き、様式19の所要時間表を範囲選択してコピーし、チャット欄に貼り付けます。その下に、次の指示文(プロンプト集10番)を貼ります。
以下は、架空の町「あおぞら町」の地点間所要時間表(分)です。行が出発地、列が到着地です。行きと帰りで分数がちがう区間があるので、必ず「出発→到着」の向きで表を引いてください。 車は「事業所」を出発し、【コンビニ北・小学校東門・スーパー南・公園西口】の4か所を1回ずつ通って、「事業所」に戻ります。 合計の移動時間が短くなる巡回順序を1つ提案し、所要時間表の数字を使って、区間ごとの分数と合計分数を表で示してください。 これが数学的にいちばん短いとは断定しないでください。「候補の1つ」として提案してください。
たとえば、ある画面には次の答えが返ってきました。「近い所から順に選んでいきました。事業所→コンビニ北→小学校東門→公園西口→スーパー南→事業所、合計28分です」。皆さんの画面には、別の順序・別の分数が出て正常です。AIの提案は毎回変わります。
提案された順序を、様式20のルート検算ワークシートに書き写します。列は3つだけです。区間(どこ→どこ)/表から引いた分数/累計。分数はAIの書いた数字を写すのではなく、所要時間表から自分の指で引き直します。2行目には、あの一方通行の組が出てきます。向きに気をつけてください。
| 区間 | 表から引いた分数 | 累計 |
|---|---|---|
| 事業所 → コンビニ北 | 4 | 4 |
| コンビニ北 → 小学校東門 | 5 | 9 |
| 小学校東門 → 公園西口 | 8 | 17 |
| 公園西口 → スーパー南 | 7 | 24 |
| スーパー南 → 事業所 | 4 | 28 |
2行目の「コンビニ北 → 小学校東門」は5分です。うっかり逆向きの3分を書くと、合計が2分ずれます。合計28分。AIの申告も28分。一致に○です。ここまでやって、はじめて「合っている」と言えます。AIが「28分です」と言ったことと、実際に28分であることは、別の話です。第7回に出てきた「動いた≠正しい」の、算数版だとお考えください。
①区間の分数が表と違う ──「区間◯→◯の分数が所要時間表と違います。表の数字だけを使って出し直してください」と注文をつけます。直らなくても慌てる必要はありません。ワークシートの手検算で正しい合計を出せば済みます。直させることが目的ではなく、確かめられることが目的です。②区間は合っているのに合計が違う ── これはよく起きます。AIは足し算も間違えます。だから検算をします。③言い切ってくる ── 断定的な言葉が返ってきても、言い直させる必要はありません。頭の中で「候補の1つ」と翻訳してください。言葉ではなく、足し算で判定します。
ここからが勝負です。28分の順序より短くできる余地があるかどうかを、自分で探します。覚えていただく手は、ひとつだけです。
いま回っている4地点は「コンビニ北→小学校東門→公園西口→スーパー南」。隣どうしの組は3つあります。①コンビニ北と小学校東門 ②小学校東門と公園西口 ③公園西口とスーパー南。上から順に試すだけです。
まず①。コンビニ北と小学校東門を入れ替えると、事業所→小学校東門→コンビニ北→公園西口→スーパー南→事業所になります。ワークシートの2段目に、この5区間を書いて足し直してください。2区間目が「小学校東門 → コンビニ北」── そう、あの一方通行の、短いほうの向きです。
2段目は「事業所→小学校東門→コンビニ北→公園西口→スーパー南→事業所」で、6+3+6+7+4=26分になります。1段目の28分との差は2分。この2分を、皆さんは自分の足し算で見つけました。
残りの2通りも足しておきます。②小学校東門と公園西口を入れ替えると4+6+8+8+4=30分、③公園西口とスーパー南を入れ替えると4+5+8+7+7=31分。どちらも縮みません。縮まないと分かったことも、立派な検算の成果です。
この町の24通りをすべて足し直すと、合計がいちばん短いのは26分で、順路は2通りあります。ひとつが上の2段目、もうひとつが「事業所→スーパー南→公園西口→小学校東門→コンビニ北→事業所」(4+7+8+3+4=26分)です。2通りとも、一方通行の短いほう「小学校東門→コンビニ北=3分」を通っています。そして、この2本はどちらも、逆回りにすると28分に戻ってしまいます(行きと帰りで分数がちがう区間があるからです)。表を向きごと読めた人だけが見つけられる近道でした。
近い所から順に選んでいく考え方だけでは、この26分には届きませんでした。近そうに見えることと、合計が短いことは、別なのです。
AIの案より短い順路を見つけた方は、勝ちです。同じ分数だった方は引き分け。見つからなかった方も、「AIの案が良い案だと、自分の足し算で確かめた」のですから、検証としてはこれも勝ちです。そして、AIの申告と自分の合計が食い違った方 ── 実は今日いちばんの収穫です。言葉は流暢でも、数は間違える。それをご自分の目でご覧になりました。
早く終わった方は、AIに「別の候補をもう1つ」と頼んで、それも検算してください。2本目の検算は、1本目の半分の時間でできるはずです ── それが、技が身についた証拠です。
検算で温まった目のまま、前回の割当表も壊しにいきます。手順は第6回と同じです。①カードのとおりに1か所書き換える ②プロンプト集7番で金曜を生成する ③AIの振る舞いを記録する ④でっち上げが出たら、防御の9番を足してもう一度。
カード①では、一度立ち止まってください。表の上の1マスが、現実では子どもの安全です。「乗れないなら乗れない」と言えるツールだけが、送迎で使えるツールです。3ケース終わらないときは、カード①だけで十分です。①が今日の本体です。
AIの順序の提案には、合計時間がいちばん短いという保証がありません。だから足し算で確かめます。足し算なら、パソコンが苦手でも、自分で確かめられます。実際の道順と所要時間は、運転者の下見など人の目で別途確認して決めます。
宿題15分で2つです。①金曜の乗車割当表を、第6回の手順(タブ区切り→罫線→横向き→改ページプレビュー)でA4横1枚に整え、表のいちばん下に「最終確認者サイン欄」と「降車時の所在確認サイン欄」の2つを足してください(空き行に手打ちで結構です)。②取扱説明メモに書きたいことを3つ、メモしておいてください(最終回で使います)。
職場で1か所だけ、見てきてください ── 車の中か事務所の壁で、降車時の確認を、いま何で担保しているか(指差し表・チェック列・声かけの習慣)。皆さんの送迎表の最後のサイン欄は、職場のその仕組みに接続します。
最終回です。作ったものを、自分以外の人が使える形にして置いていきます。最後にもう一度だけ、AIの言い切りを足し算で崩します。
作ったツールが、半年後には「作った人しか使えない置き物」になっている ── この種の取り組みで、いちばんよくある結末です。死因は3つに決まっています。①作った本人しか動かし方を知らない。②現場のやり方が変わったのに、直せる人がいない。③そもそも、困っている当事者に配られていない。送迎で言えば、「送迎表ツールを作った主任が異動して、誰も直せず、ホワイトボードに逆戻り」。第7回の主任Kさんの属人化が、ツールごと属人化して戻ってくるわけです。
このツールの使い方を、パソコンが苦手な人向けに、番号つきの手順で書いてください。 手順は10個以内、1つの手順は1つの操作だけにしてください。 最後に「困ったときの連絡先」の欄を空欄で作ってください。 (ここに、自分の依頼シートとプロンプト帳の該当部分を貼る)
引き継ぎについて、ひとつ申し添えます。ツールを作ったときのAIとのやりとり(プロンプト帳)を保存してあれば、次の人はそれを読んで、同じ会話から再開できます。皆さんが12週間つけてきたプロンプト帳は、そのままツールの設計図であり、引き継ぎ書です。
送迎ツールには、引き継ぐものがもう1枚あります。紙の対応表 ── 記号と実名・実際のご住所の対応です。これはAIの外、事務所の紙(または職場の規程で認められた場所)で管理する、この講座で唯一わざと作らなかった部品です。ツールを引き継ぐときは、この対応表の保管場所と管理の責任者も一緒に引き継ぎます。ここまでが、送迎ツールの運用です。
仕上げの前に、もう一度だけ壊します。カード④には、架空のシステムの出力が印刷してあります。
あるシステムの出力 ──「最短ルートです:事業所→コンビニ北→スーパー南→公園西口→小学校東門→事業所(合計31分)」
この「最短」という言い切りが、このカードの仕掛けです。言い切られると、つい信じたくなります。だからこそ、足し算で確かめます。
やることは第11回と同じ、様式19の所要時間表と様式20のワークシートで手検算です。4分で、この主張を確かめてください。
4+6+7+8+6=31分。足し算は合っています。ところが皆さんのワークシートには、26分や28分の順路が書いてあります。つまりこの出力は、数字は正直で、言葉が正しくないのです。「いちばん短い」という自信満々の一言が、皆さんの足し算1回で崩れました。言葉の自信と、答えの正しさは、別のもの。数えられるものは、数えて確かめる ── これが、この講座の検証技能の卒業試験でした。様式21の4行目に記録してください。
型は前半と同じです。合格の見本を4つ(この入力なら、こう出るのが正解)、意地悪を2つ(カード①と③の結果を様式21から書き写す)、してはいけないことを3つ。合格の見本が書けないときは、第10回のご自分の割当表を開いて、そこに出ていた正しい結果を「この入力なら、こう出る」の文に写せば見本になります。9マス埋まらなくても、合格の見本2つとしてはいけないこと3つの5マスまでで、今日は十分です。残りは30日のあいだに埋められます。
合格の見本の例:金曜を貼ると、利用者Aが車両3に入る/利用者Cの便に添乗のRかSがつく/各便の乗車人数が定員以内になる/【が理由つきで出る】。
してはいけないことは、送迎版ではこの3つに決まっています。実名と実際のご住所を入れない。実在の地図と連携させない。降車時の所在確認をツールに代行させない。
①入力表の作り方(様式16・17の列と記号の説明)と②貼る順番(利用者表→車両表→ルールブック→プロンプト集7番。点検は8番、困ったら9番)は、ご自分の言葉で2〜3行ずつ書きます。③の点検リスト10項目は、あらかじめ印字してあります。ご自分のルールに合わせて入れ替えたい行だけ直してください。
そして④です。前半の④は「最終判断は人間が行う」の1行でした。送迎版の④には、次の条件節が加わります。声に出さなくて結構です。一度お読みになってから、下の欄に今日の日付とお名前を書いてください。これは皆さんを縛る文ではなく、皆さんと利用者さんを守る文です。
本講座で作成する乗車割当表とルート順序は、記号(利用者A〜F・職員P〜S)と架空の地点名のままの「たたき台」です。実名と実際のご住所への置き換えは、AIには入力せず、紙の対応表を用いて人間が行ってください。実際の送迎業務への利用は、次の3条件がすべてそろってから、貴社の判断と責任で行ってください。①貴社の個人情報保護規程および送迎マニュアルとの適合を確認すること。②管理者(送迎の運行に責任を持つ方)が内容を承認すること。③実際の道順と所要時間は、運転者による下見など、人の目で別途確認すること(本講座の架空の町の数値は、実在の道路とは無関係です)。本講座および講師は、実運用における割当・ルートの妥当性、および送迎の安全を保証しません。乗降時の子どもの所在確認は、いかなるツールにも代替させず、必ず人が行ってください。
第6回に書いた1行 ──「この型で、私の職場の◯◯ができる」── を開いてください。12週間たったいまの目で、書き直すか、書き足すか、そのまま太くするか。最終版には2行目を足します。最初の一歩 ── 誰に、いつ、何を聞くか。たとえば「来週の月曜、請求担当の主任に、返戻の困りごとを10分聞く」。題材が浮かばないときは、第1部の題材リストから、ご自分の仕事にある名前をひとつ選んでください。
「うちには送迎がない」という方へ。皆さんが持ち帰るのは送迎表ではなく、段取りと制約のある仕事を、表とルールとAIで回す型です。訪問の順路・行事の準備・配達 ── 順番と割当のある仕事すべてが、この型の届く範囲です。シフト表が1本目、送迎表が全員の2本目でした。3本目は、このメモの題材です。
修了から30日後に、カードを1枚返してください。項目は5つです。①ツールを使い続けているか(週の回数)②取扱説明メモを職場に置いたか ③当番を1人つくったか ④橋渡しメモに書いた題材に着手したか(聞き取りを何回したか)⑤上司のひとこと。裏面には3行、個人情報の確認欄があります(入れたデータに名前・住所・病名はないか。送迎表を職場で使いはじめた方は、実際のご住所をAIに入れていないか)。義務ではなく、皆さんの30日を、皆さん自身が確かめる紙です。
第0回から開けずに持っていただいた封筒を、開けてください。中身は白紙の招待状です。あなたが、この職場の一人目です。二人目を、この招待状で、あなたが誘ってください。誰を誘うかは、お任せします。教える側に回った日から、理解はもう一段深くなります。
12回を通して、シフト表にも送迎表にも、実名は1文字も入りませんでした。それでも、どちらも仕事の役に立つ形になりました。個人情報ゼロのまま、ここまで作れる ── それが皆さんの証明です。自動化したのは、数える・照らす・検算するところまで。決めるのは、いつも人です。
宿題(30日)①取扱説明メモを職場に置く ②当番を1人つくる(5分の実演で十分です)③見直し日を決めてカレンダーに入れる ④橋渡しメモの題材について、誰かに10分の聞き取りをする。うまくいかなかった報告も、正式な報告です。できなかったことを書いて返す人を、この講座は責めません。12週間、おつかれさまでした。
ここから先は、読むための頁ではなく、書き込むための頁です。鉛筆でも、消えるペンでも構いません。書き直す前提で作られています。
本講座の様式は、講座の中で手を動かすための用紙です。うまく書けたかどうかを採点することはありません。空欄が残っても差し支えありません。空欄は、次にその欄を埋めるために「誰に何を聞けばよいか」を教えてくれる印です。想像で埋めるより、空欄のまま残すほうが誠実です。
| 番号 | 名称 | 主に使う回 |
|---|---|---|
| 様式1 | 希望収集シート | 第2回 |
| 様式2 | プロンプト帳(表紙と記入例) | 第2回から毎回 |
| 様式3 | ルールブック | 第3回・第4回 |
| 様式4 | 意地悪テスト記録表 | 第6回 |
| 様式5 | 使い方メモ | 第6回 |
| 様式6 | 聞き取りシート | 第7回・第8回 |
| 様式7 | 三案シート | 第8回・第9回 |
| 様式8 | 依頼シート(5欄) | 第9回 |
| 様式9 | 外部依頼の四行 | 第9回 |
| 様式10 | 導入前チェック五問 | 第10回・第12回 |
| 様式11 | 動作点検表(9マス) | 第12回 |
| 様式12 | 橋渡しメモ | 第6回・第12回 |
| 様式16 | 利用者一覧表(利用者A〜F) | 第10回 |
| 様式17 | 車両一覧表(車両1〜3) | 第10回 |
| 様式18 | 送迎ルールブック(見本8か条) | 第10回 |
| 様式19 | 架空の町「あおぞら町」 | 第11回 |
| 様式20 | ルート検算ワークシート | 第11回・第12回 |
| 様式21 | 意地悪テスト記録(送迎版) | 第11回・第12回 |
| 様式22 | 使い方メモ(送迎版) | 第12回 |
講座で作る用紙とプロンプト帳(AIへの指示文の控え)は、受講者個人のものではなく、事業所に残る資産として設計しています。次に同じ仕事を担当する方が、この束を読めば続きから始められる ── それが、この様式集のもうひとつの役目です。
シフト表づくりの三点セットの、一つ目です。職員から集めた勤務希望を、AIが読める形の一枚にまとめます。
人はスタッフA〜Fの記号で書きます。属性の欄には「夜勤可」「日勤のみ」「時短」のうち、当てはまるものを書きます。理由や事情は書きません。配置に必要なことだけを書く ── これが、この表の設計です。
| スタッフ | 属性 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| スタッフA | 夜勤可 | ○ | 夜 | ○ | × | 夜 | ○ | ○ |
| スタッフB | 夜勤可 | 夜 | ○ | × | 夜 | ○ | ○ | × |
| スタッフC | 日勤のみ | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × | ○ |
| スタッフD | 日勤のみ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
| スタッフE | 日勤のみ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
| スタッフF | 時短 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × | × |
| スタッフ | 属性 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| スタッフA | ||||||||
| スタッフB | ||||||||
| スタッフC | ||||||||
| スタッフD | ||||||||
| スタッフE | ||||||||
| スタッフF |
スタッフA〜Fのままでも、希望を集める・条件を守らせる・偏りを数えるという仕組みは、すべて成り立ちます。名前は、最後に人が紙の上で置き換える札にすぎません。仕組みの骨組みに、名前は要らないのです。
プロンプト(AIへの指示文)の控え帳です。AIとのやりとりの控えは、そのままツールの設計図になり、次の担当者への引き継ぎ書になります。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 日付・回 | 第2回 |
| 使った指示文 | プロンプト集1番(全文をそのまま貼る) |
| 注文のつけ直し | 「スタッフCの日曜を休みに変えて、代わりに他の人で日勤2名を保ってください。変えた箇所を教えてください。」 |
| 出てきた結果のひとこと | 表の形で出た。木曜のスタッフAは休みになっていた(1か所を目で確認) |
パソコンの中では、メモ帳またはWordに貼り足していき、「プロンプト帳」という名前で保存します。この紙は、その控えを手元で確かめるための頁です。
第2回に1番、第4回に2番と3番、第5回に4番(防御)、第9回に5番、第10回に7番から9番、第11回に10番、第12回に6番。各回の演習の最後に、その回で使った指示文と、自分の注文のつけ直しを貼り足していきます。
三点セットの二つ目です。職場の決まりごとを、AIに通じる形の箇条書きに直します。「なるべく公平に」は通じません。「夜勤回数の差は1回以内」なら通じます。
見本のうち2か条から3か条を、自分の職場の決まりごとに入れ替える方は、こちらにお書きください。差し替えるときも、実名を入れない・1行1ルール・番号を振る、は同じです。会社の決まりごとで、外に出してよいか迷うものは、一般的な言い方に直してからお書きください(例:具体的な人数は「必要人数」)。
「休み希望は月3日まで」のような月単位のルールは、そのままでは1週間分の演習と噛み合いません。「週1日まで」のように、週の形に直しておくと、そのまま使えます。ルールを1行にする練習は、第9回の依頼シートでも続きます。
わざと無理のある入力を与えて、ツールの壊れ方を先に知っておくための記録です。壊れても誰も困りません。相手は架空のスタッフ6人です。
AIの振る舞いの欄は、「勝手に埋めた」「人員不足と言った」「その他」の三択に丸をつけ、右の欄にひとことだけ添えます。
| ケース | 入力をどう変えたか | AIの振る舞い(三択に丸) | ひとことメモ | 防御を足したあと |
|---|---|---|---|---|
| 1 全員が水曜に× | 勝手に埋めた/人員不足と言った/その他 | |||
| 2 「夜」を全員から消す | 勝手に埋めた/人員不足と言った/その他 | |||
| 3 スタッフFの行を空欄 | 勝手に埋めた/人員不足と言った/その他 |
それは良い結果です。ただし「今日出なかった」は「明日も出ない」ではありません。同じ入力でも答えが毎回少し変わるのが、AIの仕組み上の性質です。防御プロンプトは、保険としてプロンプト帳に入れておきます。
自分のツールの取扱説明書を、A4一枚で書きます。四点構成です。この一枚があるかどうかで、ツールが半年後も使われているかが決まります。
希望収集シートの列と記号を、自分の言葉で2行から3行にまとめます。
希望表 → ルールブック → プロンプト集2番。困ったときは4番(防御)を足します。点検は、新しいチャットで3番です。
| # | 点検する内容 | 済 |
|---|---|---|
| 1 | 各日の必要人数が埋まっているか | |
| 2 | ×の日に配置されていないか | |
| 3 | 夜勤の翌日が休みか | |
| 4 | 連続勤務が5日以内か | |
| 5 | 時短スタッフの配置が正しいか | |
| 6 | 夜勤回数の差が1回以内か | |
| 7 | 土日出勤に偏りがないか | |
| 8 | 「【未充足】」の表示を確認したか | |
| 9 | でっち上げ(表にない名前・記号)がないか | |
| 10 | 最終確認者のサイン欄に記入したか |
自分のルールに合わせて入れ替えたい行は、書き直して構いません。
AIの出力を、そのまま勤務の決定にはしません。この一行は、どの職場のどのツールでも変わりません。
プロンプト集6番を使うと、手順の下書きが出てきます。ただし、出てきた文が自分の職場のやり方と合っているかを見るのは、書いた本人の仕事です。
困りごとを、本人の言葉から掘り出すための五問です。手段から入る質問 ──「AIで何かできませんか」── は、禁じ手です。要望しか返ってきません。
五問の中で、もっとも大事な一問です。しのぎ方(写真に撮る、二重にメモする、前日に電話で確かめる)が存在するなら、その困りごとは本物です。
「【誰が(役職)】が、【いつ】に、【何を】、【1日・1週・1月あたり◯回】・【1回◯分】かけてやっていて、【何がつらい】」の形に直し、「合っていますか」と本人に確かめます。直されたら、それが正解です。
実名を書かず、役職で書きます。思い出せない数字は「◯」のまま残します。想像で埋めた数字は、AIのでっち上げと同じものです。送迎の話には、お子さんの名前・ご住所・学校名が自然に出てきます。メモには書かず、出てしまったらその場で消します。
困りごとひとつに対して、案を三つ広げます。順番はAからです。何でも作る人より、「作らない」と言える人のほうが信頼されます。
やり方や紙の様式を変えるだけで解決できないかを考えます。聞き取りの問4に書いた「しのぎ方」を整えて全員に配る ── それだけで立派なA案です。
この講座の型で、たたき台のツールを作ります。最初の一機能はどれか、まで小さくします。
台数が多い、拠点が多い、専用の機器が要る ── そういう規模になったら、この講座の作り方では届きません。届かないと分かることも、技術です。
| 登場人物 | この案では、誰が当たりますか(役職で) |
|---|---|
| ① 使う人 | |
| ② 決める人 | |
| ③ 守る人(個人情報/安全の責任者) | |
| ④ 守られる人(利用者とご家族) |
シートを先に自分で書き、そのあとでAIに反対意見を求めます。案そのものをAIに考えさせません。案は、現場を知っている人の仕事です。
作る前に「何ができれば完成か」を決める一枚です。専門用語では要件定義書と呼びます。とくに③と④が、ツールの安全設計の心臓部です。
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| ① 誰が使う | 送迎担当の主任(Excelは表を触れる程度) |
| ② 画面に何が見える | 利用者一覧表(記号)と送迎ルールブックを貼る欄。送ると、便別・車別の乗車割当表のたたき台が出て、守れない箇所は「【未充足】」「【割当不能】」と表示される |
| ③ 何を覚えておく | 目印地点の名前と、地点間の所要時間表だけ(実名・実在のご住所は最初から入れない設計にする。名前と住まいの対応は、事務所の紙の対応表で人間が管理する) |
| ④ してはいけないこと | 実名・実在のご住所を入れない/実在の地図や経路案内のサービスと連携しない/乗降時の所在確認をツールに代行させない/お迎え時刻帯を勝手にずらさない |
| ⑤ 完成の条件 | 金曜の利用者一覧を貼ると、ルール①〜⑧を守った割当表が出て、守れない場合は「【割当不能】」と表示され、最後に「最終確認は送迎担当が行う」と表示される |
覚えさせるのは、目印地点と所要時間表だけです。実際のご住所は、入れないのではなく、入れる欄そのものを設けません。④が空欄になった方は、第7回の座学を思い出してください。ツールに肩代わりさせない仕事 ── 降車時の所在確認 ── が、そのまま一行になります。
C案(専門の業者に頼む)を選んだときに、業者へ渡す四行です。この四行を書けない方が、高い買い物をさせられます。
| 行 | 記入例 |
|---|---|
| ① 完成の条件 | 全車両の当日の走行位置が事務所の画面で見え、到着の遅れが家族に自動で伝わる |
| ② 変えられないもの | 乗降時の所在確認は職員が行う運用/現在の車両台数 |
| ③ 出してはいけない情報 | 利用者の氏名・お住まい・学校名は、契約と管理体制が確認できるまで渡さない |
| ④ 確かめ方 | 1台・1週間の試験導入で、位置表示の誤差と通知の遅れを記録して判定する |
依頼シートが書ける方は、この四行も書けます。同じ技能です。書き足したくなったら、それは依頼シートの側に書く内容かもしれません。
ツールが職場で使われ始める前に、答えておく五つの質問です。答えられない問があっても構いません。「持ち帰って確認します」も、正解のひとつです。
確認する先が分かっていることが合格です。空欄の問には、「誰に聞けば分かるか」だけでも書いておきます。⑤への答えは、第12回の座学「運用と引き継ぎ」で、文書化・当番・見直し日という形になります。
自分のツールを、自分で検収するための表です。合格の見本4つ、意地悪2つ、してはいけないこと3つ ── 合わせて9マスです。
「合格の見本」は、「この入力なら、こう出るのが正解」という形で書きます。第10回に自分が出した割当表に出ていた正しい結果を、そのまま文に写せば見本になります。
| # | 区分 | 内容(この入力なら、こう出る/どう振る舞えば正解か) | 結果 |
|---|---|---|---|
| 1 | 合格の見本 | ○・× | |
| 2 | 合格の見本 | ○・× | |
| 3 | 合格の見本 | ○・× | |
| 4 | 合格の見本 | ○・× | |
| 5 | 意地悪(カード①の結果を様式21から転記) | ○・× | |
| 6 | 意地悪(カード③の結果を様式21から転記) | ○・× | |
| 7 | してはいけないこと | 実名・実在のご住所を入れない | ○・× |
| 8 | してはいけないこと | 実在の地図や経路案内のサービスと連携しない | ○・× |
| 9 | してはいけないこと | 降車時の所在確認をツールに代行させない | ○・× |
送迎版の合格の見本の例:金曜を貼ると、利用者Aが車両3に割り当てられる/利用者Cの便に添乗職員RまたはSがつく/各便の乗車人数が定員以内になる/守れない箇所が理由つきで「印」と表示される。
合格の見本2つと、してはいけないこと3つ ── 5マスまで書ければ、その日は十分です。残りは修了後の30日で埋められます。
講座で作るのは、シフト表と送迎表の二つです。三本目は、この一枚が決めます。「この型で、私の職場の◯◯ができる」── それだけを書きます。
表を貼ってたたき台を出させ、点検リストで確かめる ── この型が効きそうな自分の仕事を、ひとつだけ挙げます。
1行目は、書き直すか、書き足すか、そのまま太くするか。そのうえで、2行目を足します。
修了30日後の30日レポートカードに、「橋渡しメモに書いた題材に着手したか(聞き取りを何回したか)」という項目があります。義務ではありません。自分の30日を、自分で確かめるための紙です。
後半の題材、送迎表の入力表です。前半の希望収集シートに当たります。列は五つだけです。
| 利用者 | 属性ラベル | お迎え目印地点 | 利用曜日 | お迎え時刻帯 |
|---|---|---|---|---|
| 利用者A | 車椅子 | 公民館前 | 月・水・金 | 15時台 |
| 利用者B | チャイルドシート | コンビニ北 | 火・木 | 15時台 |
| 利用者C | 添乗必要 | 郵便局前 | 月〜金 | 16時台 |
| 利用者D | (特記なし) | 小学校東門 | 月・火・木 | 15時台 |
| 利用者E | チャイルドシート | スーパー南 | 水・金 | 16時台 |
| 利用者F | 車椅子 | 公園西口 | 火・木 | 16時台 |
注意で守る設計は、忙しい日に破れます。欄を作らないという設計は、破れません。これが安全設計の考え方です。記号と実名の対応は、事務所の紙の対応表で人が管理します。この対応表は、本講座で唯一、あえて作らなかった部品です。
乗せられる人数と、乗せられる状態が決まっている ── 送迎の割当が難しいのは、この二つの制約が同時にかかるからです。
| 車両 | 種別 | 乗車定員(運転手を除く) | 車椅子対応 | チャイルドシート |
|---|---|---|---|---|
| 車両1 | 普通車 | 4名 | × | ○(1台設置) |
| 車両2 | ワゴン | 6名 | × | × |
| 車両3 | 福祉車両(リフト付き) | 3名+車椅子1名 | ○ | × |
同じ時刻帯に出せる車両が2台までなのは、運転できる職員がPとQの2名だからです。制約は、車の台数ではなく人で決まることがあります。
| 車両 | 種別 | 乗車定員(運転手を除く) | 車椅子対応 | チャイルドシート |
|---|---|---|---|---|
| 車両1 | ||||
| 車両2 | ||||
| 車両3 |
前半のルールブックと書き方は同じです。番号を振り、1行1ルール、あいまいな言葉を使いません。送迎版は8か条です。
乗車人数として数えるのは、利用者の人数と添乗職員の人数です。運転手は数えません。この定義があいまいなままだと、点検のたびに合格の見本が揺れます。数え方を先に決めておくことが、点検を成り立たせます。
見取り図と、地点間の所要時間表です。この表の数字が、この町の道のすべてです。渋滞も信号もない、算数だけの町として作ってあります。
コンビニ北
公園西口 郵便局前 小学校東門
公民館前
事業所(出発・帰着)
スーパー南
見取り図は、位置関係の雰囲気を示すだけのものです。近くに見えても遠い、遠くに見えても近い ── そういうことが起こります。分数は、必ず表から引きます。
| 出発\到着 | 事業所 | 公民館前 | コンビニ北 | 郵便局前 | 小学校東門 | スーパー南 | 公園西口 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業所 | ─ | 3 | 4 | 5 | 6 | 4 | 7 |
| 公民館前 | 3 | ─ | 5 | 4 | 5 | 6 | 6 |
| コンビニ北 | 4 | 5 | ─ | 4 | 5 | 6 | 6 |
| 郵便局前 | 5 | 4 | 4 | ─ | 4 | 7 | 5 |
| 小学校東門 | 6 | 5 | 3 | 4 | ─ | 8 | 8 |
| スーパー南 | 4 | 6 | 6 | 7 | 8 | ─ | 7 |
| 公園西口 | 7 | 6 | 6 | 5 | 8 | 7 | ─ |
数字はすべて、この町のためだけに作った架空の値です。実在の場所とは関係がありません。
行が「どこから」、列が「どこへ」です。事業所からコンビニ北へ行くなら、左端で「事業所」の行を探し、上で「コンビニ北」の列を探し、ぶつかったマスを読みます。4分です。指で一度、辿ってみてください。
探してみてください。見つかりましたか。コンビニ北 → 小学校東門は5分、小学校東門 → コンビニ北は3分です。 小学校の東側の道が、登下校の時間帯だけ一方通行、という設定にしてあります。 コンビニ北から向かうときだけ、回り道で2分よけいにかかります。
実際の道にも、一方通行や右折待ちで、行きと帰りの時間がずれる場所があります。 だから表は「出発 → 到着」の向きで引きます。見取り図は雰囲気です。分数は、必ず表から。
新しく運転に入る職員Qの「道おぼえ運転」です。利用者は乗せません。事業所を出発し、コンビニ北・小学校東門・スーパー南・公園西口の4地点を1回ずつ通って、事業所へ戻ります。乗せないので、定員も添乗も考えません。順番と足し算だけの問題にしてあります。
4地点を回る順番は、全部で24通りあります。人の手で24通りすべてを試すのは大変ですが、1通りを足し算で確かめることなら、誰にでもできます。
地点はすべて架空の名前で、実在の施設とは関係がありません。実際の送迎の道のりを、この表で決めることはありません。実際の道のりと所要時間は、経路案内のサービスと運転者の下見で確認する ── 人の仕事です。
AIが提案した巡回の順序を、自分の足し算で確かめます。この講座で持ち帰る技のうち、もっとも素朴で、もっとも長く使えるものです。
マスは左から、区間(どこ→どこ)/表から引いた分数/累計の順に書きます。
どこと どこを入れ替えたかを、最初に書いておくと、あとで読み返せます。
AIの案より1分でも短い順路を見つけたら、勝ちです。同じ分数なら引き分けです。見つからなくても、「AIの案が良い案であることを、自分の足し算で確かめた」── 検証としては、それも勝ちです。そして、AIの申告と自分の合計が合わなかった方は、この日いちばんの収穫を手にしています。
3段目以降と、第12回の最後の検算に使う頁です。2本目の検算は、1本目の半分の時間でできるはずです。それが、技が身についた証拠です。
キットのカード④には、ある架空のシステムの出力が印刷してあります。ひとつの巡回順序と、その合計が、たいへん自信のある言葉で示されています。様式19の表を使って、その合計を足し直してください。
数字は正直でも、そこに添えられた言葉が正しいとは限りません。数えられるものは、数えて確かめる ── それが、この二枚のワークシートの結論です。
送迎表のツールを、わざと壊しにいきます。表の上の1マスが、現実では子どもの安全です。「乗れないなら乗れない」と言えるツールだけが、送迎で使えます。
| ケース | 正解の振る舞い | AIの振る舞い(三択に丸) | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| カード① 車両3が終日点検で使えない | 「【割当不能】」と申告する(車椅子の利用者Aが乗れる車が無いため) | 勝手に埋めた/【・情報不足と申告】した/その他 | |
| カード② 利用者Cの時刻帯が矛盾 | 勝手にどちらかを選ばず「情報不足(記載が矛盾・要確認)」と書く | 勝手に埋めた/【・情報不足と申告】した/その他 | |
| カード③ 一覧表にいない利用者G | 「利用者Gは一覧表に存在しません」と申告する | 勝手に埋めた/【・情報不足と申告】した/その他 | |
| カード④ 架空システムの出力(第12回) | 印字された合計の足し算そのものは合っている。しかし、自分が第11回に検算した順路より時間がかかっている | 言葉は正しかった/言葉は正しくなかった |
良い結果です。ただし「今日出なかった」は「明日も出ない」ではありません。9番は保険として、プロンプト帳に貼っておきます。三つ終わらなかった方は、カード①だけで十分です。①がこの日の本体です。
送迎表ツールの取扱説明書です。型は前半と同じ四点構成で、④に条件節が加わります。あなたを縛る文ではなく、あなたと利用者を守る文です。
利用者表 → 車両表 → ルールブック → プロンプト集7番。点検は8番、困ったときは9番です。
| # | 点検する内容 | 済 |
|---|---|---|
| 1 | 車椅子の利用者が車両3に割り当てられているか | |
| 2 | チャイルドシートが必要な利用者が車両1か | |
| 3 | 各便の乗車人数(運転手を除く。添乗職員は含める)が定員以内か | |
| 4 | 「添乗必要」の利用者の便に添乗職員(RまたはS)がついているか | |
| 5 | 同じ時刻帯の車両が2台以内か | |
| 6 | お迎え時刻帯が守られているか | |
| 7 | 一覧表にいない利用者・車両・職員が作られていないか | |
| 8 | 「【割当不能/印未充】足/情報不足」の表示を読んで納得したか | |
| 9 | ルートの合計分数を所要時間表で足し直したか | |
| 10 | 印刷版に最終確認者サイン欄と降車時の所在確認サイン欄があるか |
本講座で作成する乗車割当表とルート順序は、記号(利用者A〜F・職員P〜S)と架空の地点名のままの「たたき台」です。実名やお住まいへの置き換えは、AIには入力せず、紙の対応表を用いて人が行ってください。実際の送迎業務への利用は、次の三つの条件がすべてそろってから、貴社の判断と責任で行ってください。
本講座および講師は、実運用における割当・ルートの妥当性、および送迎の安全を保証しません。乗降時のお子さんの所在確認は、いかなるツールにも代替させず、必ず人が行ってください。
記号と実名・お住まいの対応を書いた紙の対応表です。これはAIの外、事務所の紙(または職場の規程で認められた場所)で管理します。ツールを引き継ぐときは、この対応表の保管場所と管理の責任者も、一緒に引き継ぎます。
プロンプト(AIへの指示文)を、そのまま打てる形で収めました。手打ちでも、この頁を見ながら写しても構いません。使ったものは、様式2のプロンプト帳へ貼り足していきます。
いつ使うか:希望収集シートを貼ったあと、はじめてシフト表のたたき台を出すとき(第2回)。
以下はスタッフA〜Fの1週間の勤務希望表です。○=勤務可、×=休み希望、夜=夜勤可の日です。 各日に日勤2名・夜勤1名を配置した1週間のシフト表のたたき台を、行=スタッフ、列=曜日の表で作ってください。 ×の日には配置しないでください。 埋められない日があれば、埋めずに表の下に「人員不足」と書いてください。
いつ使うか:希望表とルールブックの両方を貼ったあと。前半の主力です(第4回以降)。
以下の勤務希望表とルールブックにもとづいて、1週間のシフト表のたたき台を作ってください。 表の記号は、○=勤務可、×=休み希望、夜=夜勤可の日です。 ルール①〜⑦を必ず守ってください。 守れなかった箇所がある場合は、勝手に調整せず、表の下に「【未充足】」として、ルール番号と理由を箇条書きで書いてください。 表の右端に、各スタッフの夜勤回数と土日出勤回数の集計列をつけてください。
いつ使うか:出てきた表を、別の新しいチャットで点検させるとき(第4回)。作った本人に「問題ありませんか」と聞いても、あてになりません。人もAIも同じです。
あなたは点検係です。 以下のシフト表が、ルールブック①〜⑦に違反していないかを、ルール番号ごとに1つずつ点検して、○×と理由を表で報告してください。 違反が1つも無い場合も、各ルールをどう確認したかを書いてください。
4番は、でっち上げを防ぐための保険です。6番は、取扱説明メモの下書きに使えます。7番から、題材が送迎表に変わります。
いつ使うか:埋められない日を勝手に埋める、いない職員を作る ── そうした振る舞いが出たとき、指示文の末尾に足します(第5回以降)。
不足や矛盾があっても、勝手に埋めたり、書かれていない情報を推測で補ったりしないでください。 埋められない場合は「人員不足」、情報が足りない場合は「情報不足」と、表の下にはっきり書いてください。
いつ使うか:三案シートの推薦案を自分で書き終えたあと、その案を磨くとき(第9回)。順番を逆にしません。案を考えるのは、現場を知っている人の仕事です。
あなたは介護・福祉の現場で長年働いてきたベテラン職員です。 次の案について、現場の立場から心配な点を3つ、現場の言葉で挙げてください。 (ここに三案シートの推薦案を貼る)
いつ使うか:使い方メモ(様式5・様式22)を書くとき。前半でも後半でも、同じ文が使えます。
このツールの使い方を、パソコンが苦手な人向けに、番号つきの手順で書いてください。 手順は10個以内、1つの手順は1つの操作だけにしてください。 最後に「困ったときの連絡先」の欄を空欄で作ってください。 (ここに、自分の依頼シートとプロンプト帳の該当部分を貼る)
いつ使うか:様式16・17・18の三つを貼ったあと。後半の主力です(第10回以降)。
以下は、利用者A〜Fの一覧表(属性・お迎え目印地点・利用曜日・お迎え時刻帯)と、車両1〜3の一覧表、送迎ルールブックです。 【対象の曜日:金曜】について、どの利用者をどの車両のどの便に乗せるかの「乗車割当表」のたたき台を、行=車両と便、列=時刻帯・乗車する利用者・運転(PまたはQ)・添乗職員(RまたはSの有無)、の表で作ってください。 ルール①〜⑧を必ず守ってください。 守れなかった箇所がある場合は、勝手に調整せず、表の下に「【未充足】」として、ルール番号と理由を箇条書きで書いてください。 割り当てられない利用者がいる場合は、勝手に詰め込まず、表の下に「【割当不能】」として利用者の記号と理由を書いてください。 表の右端に、各便の「乗車人数/定員」の欄をつけてください。
10番は、この講座の締めくくりの指示文です。順序の提案を受け取り、その合計を自分の足し算で確かめるところまでが一組になっています。
いつ使うか:出てきた割当表を、別の新しいチャットで点検させるとき(第10回)。割当表・様式16・様式17・様式18を貼ってから、この文を送ります。
あなたは点検係です。 以下の乗車割当表が、送迎ルールブック①〜⑧に違反していないかを、ルール番号ごとに1つずつ点検して、○×と理由を表で報告してください。 違反が1つも無い場合も、各ルールをどう確認したかを書いてください。 特に、車椅子・チャイルドシート・定員・添乗の4点は、利用者一覧表と車両一覧表に突き合わせて確認してください。
いつ使うか:一覧表にいない利用者・車両・職員が現れたときや、条件が足りないのに表が埋まってしまったとき、7番の末尾に足して生成し直します(第10回以降)。
一覧表にいない利用者・車両・職員を作らないでください。 不足や矛盾があっても、勝手に埋めたり、書かれていない情報を推測で補ったりしないでください。 割り当てられない場合は「【割当不能】」、情報が足りない場合は「情報不足」と、表の下にはっきり書いてください。
いつ使うか:様式19の所要時間表を貼ったあと。出てきた順序は、必ず様式20で足し直します(第11回)。
以下は、架空の町「あおぞら町」の地点間所要時間表(分)です。行が出発地、列が到着地です。必ず「出発→到着」の向きで表を引いてください。 車は「事業所」を出発し、【コンビニ北・小学校東門・スーパー南・公園西口】の4か所を1回ずつ通って、「事業所」に戻ります。 合計の移動時間が短くなる巡回順序を1つ提案し、所要時間表の数字を使って、区間ごとの分数と合計分数を表で示してください。 これが数学的に一番短いとは断定しないでください。「候補の1つ」として提案してください。
小さな規模であれば、AIの巡回順の提案は実用的なたたき台になります。ただし、それが数学的に一番短いという保証はありません。区間の分数を表とちがう数字で書くことも、足し算そのものを間違えることもあります。だから、足し算で確かめます。この技は送迎に限らず、AIと働くかぎり、ずっと使えます。
様式13(現在地メモ)・様式14(30日レポートカード)・様式15(聞き取り実演の読み合わせ台本)は、講座の運営側で用意し、それぞれの回に別途お渡しするため、本書には収めていません。
書けなくて当たり前です。採点はしません。誰とも比べません。
同じ15問に、講座がはじまる前(第0回)と講座が終わったあと(第12回のあと)の 2回にわたってお答えいただきます。前と後ろを見くらべると、自分の変化が自分で分かります。 書けない質問には「まだ書けない」の印をつけてください。印をつけるのが、このメモの仕事です。
各問について、できる/たぶん/まだ書けないのどれかに印をつけてください。 ひとこと書いておきたいことがあれば、右の欄にどうぞ(書かなくても構いません)。
| 問 | 質問 | できる | たぶん | まだ書けない | ひとこと |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 職場の困りごとを1つ、「誰が・いつ・何を・何回・何分」の一文に直して書けますか | ||||
| 2 | 困りごとを聞き取るときの最初の5つの質問(聞き取りの五問)を言えますか | ||||
| 3 | 「今はどうやってしのいでいますか」と聞くと何が分かるか、説明できますか | ||||
| 4 | 完成の条件が「便利になる」としか書かれていない依頼シートの、どこが欠陥か指摘できますか | ||||
| 5 | AIの答えが「合っている」ことを確かめる方法を、1つ以上言えますか(数えられるものを数え直す・足し算で検算する、など) | ||||
| 6 | AIに入れてはいけない情報を、3つ以上挙げられますか | ||||
| 7 | 表とルールからたたき台を出す「3点セット」の名前を言えますか | ||||
| 8 | 表計算ソフトの表を、AIのチャット欄に貼り付ける操作ができますか | ||||
| 9 | AIの答えが期待と違ったとき、注文をつけ直す指示文を自分で書けますか | ||||
| 10 | 「動いた」と「正しい」の違いを、自分の言葉で説明できますか | ||||
| 11 | 意地悪テストとは何をすることか、説明できますか | ||||
| 12 | 「作らない」という結論が解決策になる場合の例を、1つ挙げられますか | ||||
| 13 | 自分のツールの「完成の条件」を、できた・できないをチェックできる文で書けますか | ||||
| 14 | 自分が休んでもツールが使われ続けるために用意するもの3つ(文書化・当番・見直し日)を言えますか | ||||
| 15 | AIの出力を最終決定にしてはいけない場面を、2つ挙げられますか(人の安全にかかわる場面を1つ含めてください) |
| 記入日 | これは | 講座の前 / 講座のあと (どちらかに印) | |
|---|---|---|---|
| お名前 | |||
講座が終わって30日たったころ、ご自身の記録をもとに書いていただくカードです。
講座で身につけたことは、職場に戻ってから1か月のあいだに「使うもの」と「使わないもの」に分かれます。 このカードは、その分かれ目をご自身で確かめるためのものです。 うまくいかなかったことを書いても、評価は下がりません。 むしろ、うまくいかなかった理由が書かれたカードのほうが、次の改善に役立ちます。
| 作ったもの | いまの状態 | ひとこと |
|---|---|---|
| シフト表のしくみ | 使っている/ときどき/止まっている | |
| 送迎表のしくみ | 使っている/ときどき/止まっている | |
| 橋渡しメモに書いた3つ目 | 着手した/これから/やめた |
正確でなくて構いません。だいたいで結構です。
| 項目 | 講座の前 | いま |
|---|---|---|
| シフト表を1か月分つくるのにかかる時間 | 約 分 | 約 分 |
| 送迎表を1日分組むのにかかる時間 | 約 分 | 約 分 |
| 「聞いていない」と言われて組み直した回数(1か月) | 回 | 回 |
| AIに頼んだ回数(1か月・だいたいで) | 回 | 回 |
ここがいちばん大事な欄です。正直に書いてください。
| 記入日 | お名前 |
|---|
このカードの提出は任意です。提出いただいた場合は、講座の改善のためだけに使い、 勤務先の評価には用いません。提出しない場合も、ご自身の記録として手元に残してください。
講座の中で分からない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。
| 言葉 | この本での意味 |
|---|---|
| AI | 文章で頼むと、文章で答えを返してくれる道具。人ではないので、間違えることがあります。 |
| プロンプト | AIへの指示文。「こうしてください」と書いた文章のこと。 |
| たたき台 | 完成品ではなく、直すことを前提にした最初の案。 |
| ルールブック | 職場の決まりごとを、箇条書きにしたもの。AIに渡して守らせます。 |
| 点検 | 出てきた答えが、決まりを守れているかを確かめること。 |
| 検算 | 計算の答えを、自分でもう一度計算して確かめること。 |
| 意地悪テスト | わざとおかしなデータを入れて、道具が壊れないか試すこと。 |
| 要件定義 | 作りはじめる前に「何ができたら完成か」を決めること。 |
| 記号にする | 実際のお名前の代わりに、スタッフA・利用者Aのような印を使うこと。 |
| セル | 表のひとつのマス。 |
| タブ区切り | 表計算ソフトの表をそのまま貼り付けたときの形。列と列の間に見えない印が入ります。 |
| 総当たり | 考えられる組み合わせを、ひとつ残らず数え上げること。 |
| こんなとき | どうするか |
|---|---|
| 画面に赤い字が出た | あわてず、その字をそのまま読み上げてください。多くは「入力の形が違う」という知らせです。 |
| AIの答えがおかしい | 頼み方を変えて、もう一度頼みます。同じ頼み方でも、違う答えが返ることがあります。 |
| 宿題ができなかった | できなかった理由を持ってきてください。それも正式な報告です。 |
| 実際のお名前を入れてしまった | すぐに講師へお知らせください。隠さないことがいちばん大切です。 |
| 前回の内容を忘れた | 各回の最初に、前回のふりかえりがあります。書き込んだ欄も読み返してください。 |